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正月の食卓で“なんで辛い料理作るんだ”と旦那にキレられたけど、10品中たった1品なので“どれが辛かった?”と聞いた瞬間、全員黙った
2026/04/02

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正月の食卓は、朝からずっと慌ただしかった。

まだ外が暗いうちに起きて、仕込みを始めた。
義父母と一緒に過ごす正月は、これで三回目。

最初の年に「ちゃんとしてるお嫁さんね」と言われたのが、ずっと引っかかっていた。
だから、今年も手は抜かなかった。

照り焼きチキン、筑前煮、焼き魚、卵焼き、味噌汁、サラダ。
それに唐揚げと、軽くつまめるおかずもいくつか。

そして、ほんの少しだけ唐辛子を入れたキムチ和え。

全部で十品。

気づけば、キッチンに立ちっぱなしで昼を過ぎていた。

「すごいわねぇ」

義母はそう言いながら、椅子に座ったままだった。
でも、それでもよかった。

何も言われないより、ずっといいと思っていたから。

料理を並べ終えて、全員が席につく。

「いただきます」

その瞬間だった。

旦那が、箸を置いた。

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そして、私の方を見た。

「なんで辛い料理なんて作るんだよ」

一瞬、時間が止まった気がした。

「……え?」

思わず声が漏れる。

旦那はため息をつきながら言った。

「親が辛いの食べられないの、分かってるだろ?」

その言い方は、責めるというより——決めつけだった。

視線が集まる。

義父も、義母も、何も言わない。

ただ、私を見ている。

胸の奥が、じわっと熱くなる。

でも、ここで言い返したら終わりだと思った。

そうやって、ずっとやってきた。

でも、その日は違った。

違和感の方が先に来た。

——辛い料理?

頭の中で、並べた料理を一つずつ思い出す。

照り焼き。甘い。
煮物。普通。
味噌汁。いつも通り。
唐揚げ。普通。

そして——キムチ。

それだけ。

十品中、一品。

私はゆっくり箸を置いた。

旦那の方を見る。

「……私、何品作ったと思ってる?」

静かに聞く。

「知らねえよ、10くらいだろ」

「うん」

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私は頷いた。

「じゃあ、その中で辛いの、いくつあった?」

一瞬、間が空く。

旦那の視線が、料理に落ちる。

そして、小さく言った。

「……1個」

「だよね」

私はそのまま続けた。

「10個中、1個だけ」

沈黙。

誰も何も言わない。

義母の表情が少しだけ固まる。

私はさらに言った。

「それで、“なんで辛い料理なんて作るんだよ”ってなる?」

声は上げていない。

でも、テーブルの空気が変わったのが分かった。

旦那は口を開いたまま、何も言えない。

義父が小さく咳払いをする。

でも、それだけ。

助け舟は出ない。

私は視線を外さずに言った。

「全部食べられないなら分かるよ」

テーブルを軽く見渡す。

「でも、ほとんど普通の味だよね」

誰も否定しない。

できない。

事実だから。

「なのに、最初の一言がそれなんだ」

一拍置く。

「“ありがとう”じゃなくて」

その一言で、完全に空気が止まった。

旦那は何か言おうとした。

でも、言葉は出てこなかった。

私はそれ以上は言わなかった。

箸を持って、静かに食べ始める。

味は、ちゃんとしていた。

しばらくして、義母がぽつりと言った。

「……別に、辛くないわね」

その一言で、勝負は決まった。

旦那はもう、何も言えなかった。

ただ黙って食べている。

謝りもしない。

でも、それで十分だった。

私は最後に味噌汁を飲み干して、箸を置いた。

「ごちそうさまでした」

一番先に席を立つ。

キッチンに向かいながら、小さく息を吐く。

「ちゃんと見てから言えばいいのに」

振り返らない。

もう、合わせる必要はない。

その日から少しだけ、

私は自分の側に立つことにした。

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