数日経っても症状は治らなかった。
むしろ悪化していた。
私は病院へ向かった。
血液検査を受けた数日後。
医師から再来院を求める電話が入った。
嫌な予感しかしなかった。
診察室に入ると、医師は真剣な顔をしていた。
そして静かに言った。
「追加検査の結果が出ました」
その言葉を聞いた瞬間、心臓が激しく鳴った。
続いて告げられた病名に、私は言葉を失った。
頭が真っ白になった。
耳鳴りがして、その後の説明がほとんど入ってこない。
どうして。
なぜ自分が。
理解できなかった。
帰宅後、私は震える手で彼女に電話した。
すると彼女は驚くほど冷静だった。
普通なら取り乱すはずだ。
だが彼女は小さくため息をついて言った。
「やっぱり分かったんだね」
その一言で背筋が凍った。
私は思わず聞いた。
「知ってたのか?」
沈黙。
そして彼女は静かに答えた。
「……うん」
世界が止まった気がした。
私はその場で崩れ落ちた。
その後、彼女から聞かされた話はさらに衝撃だった。
彼女は何年も前から自分の病気を知っていた。
通院も続けていた。
薬も飲んでいた。
だが私には一度も話していなかった。
それどころか。
彼女の父親も。
母親も。
兄も。
同じ病気で亡くなっていた。
私は震えながら聞いた。
「なんで言わなかった?」
彼女は泣きながら叫んだ。
「言ったら誰も結婚してくれないから!」
「何人も離れていった!」
「やっと見つけた人だったの!」
私は絶句した。
彼女は続けた。
「大丈夫だと思ったの!」
「結婚してから言えばいいと思った!」
「どうせあなたも私から離れないと思った!」
その言葉を聞いた瞬間。
私の中に残っていた愛情が完全に消えた。
病気が問題だったわけではない。
隠していたことだ。
人生を左右する重大な事実を。
結婚目前まで黙っていたことだ。
さらに彼女は泣きながら言った。
「今さら別れても意味ないよ」
「あなたももう同じだから」
私は全身の力が抜けた。
人を愛していたはずだった。
だが彼女は私を愛していたのではない。
逃がさないために利用していたのだ。
その後、私は彼女との会話を全て保存した。
録音も残した。
通院記録も確保した。
そして弁護士に相談した。
彼女は最後まで泣いていた。
謝罪もした。
だが一度失われた信頼は戻らなかった。
婚約は破棄した。
家族にも真実を伝えた。
紹介者にも全て説明した。
彼女は最後に私へ電話してきた。
「お願いだから戻ってきて」
「一人にしないで」
私は静かに答えた。
「病気だから離れるんじゃない」
「君が嘘を選んだからだ」
電話の向こうで泣き声が聞こえた。
だが私は二度と振り返らなかった。
人生は壊された。
将来も変わってしまった。
それでも私は思う。
病気は罪じゃない。
だが、
愛する人の人生を奪う覚悟で真実を隠すことは、決して許されない。
彼女は私を縛りつけるつもりだったのだろう。
だが最後に失ったのは、
私との未来だった。
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]