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「返品じゃないです、確認です」アボカドの中から変な突起が出てきて、レジ横で袋を開けた瞬間
2026/04/29

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その声で、私のほうが恥ずかしくなった。

袋を開けたのは、ほんの少しだけ。

でも中のアボカドは、隠す気ゼロみたいな見た目をしていた。

黄緑の果肉の横から、細い根っこみたいなものがぬるっと出ている。

傷んで黒くなっているなら、まだ分かる。

でもこれは違う。

中で何か育っていたみたいで、見れば見るほど食卓に出す気がなくなっていく。

私は慌てて言った。

「クレームじゃないんです。本当に、食べていいか聞きたいだけで」

レジの女性は嫌な顔をせず、袋の外からじっと見て、

「これは切ってみないと分からないものなので、お持ちいただいてよかったです」

と言ってくれた。

その言い方で少し救われた。

家で大騒ぎしているだけじゃなかったんだ、と思えたから。

すると、後ろの男性が自分のカゴを見下ろした。

そこにもアボカドが一つ入っていた。

「え、俺のも同じ箱のやつですかね」

その一言で、なぜか話が私だけの問題じゃなくなった。

レジの女性は売り場の方を見て、

「今並んでいる分、確認してきます」

と言って、レジ横にいた別のスタッフに短く事情を伝えた。

私はまた申し訳なくなった。

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閉店前に、198円のアボカド一個でこんな流れになるとは思っていなかった。

でもスタッフさんは手際がよかった。

売り場から同じ値札のアボカドを数個だけ外して、柔らかくなりすぎているものを別のカゴに分けた。

全部を大げさに回収するわけでもなく、

「念のため、この箱の分だけ確認します」

という感じだった。

そこが逆に信用できた。

私はレシートを出しながら、

「交換だけお願いできますか」

と言った。

するとレジの女性が、

「もちろんです。ただ、今日はすぐ食べる予定でしたか?」

と聞いてきた。

「夕飯に使うつもりでした」

そう答えると、売り場を見ていたスタッフさんが戻ってきて、

「今日なら、こっちの方が切りやすいと思います」

と別のアボカドを選んで渡してくれた。

少し硬さが残っていて、皮にも変なへこみがないものだった。

それだけで、プロっぽいなと思った。

後ろの男性も、自分のカゴのアボカドを差し出して、

「俺も一応、別のにします」

と言った。

それを聞いたレジの女性が笑いをこらえながら、

「今日は皆さん慎重になりますよね」

と返した。

その一言で、ようやく私も笑えた。

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最初は、切った食品を持ってくるなんて面倒な客だと思われるかも、と不安だった。

でも実際は、誰も責めなかった。

むしろ、

「食べる前でよかったです」

「写真だけ残して、仕入れ先にも確認します」

と、淡々と対応してくれた。

派手な出来事ではない。

でも、こういう時に店の感じって出るんだなと思った。

家に帰って、新しいアボカドを切った。

今度は普通だった。

種の周りもきれいで、変な突起もない。

たったそれだけなのに、すごく安心した。

タコライスに乗せて食べたら、普通においしかった。

ただ、包丁を入れる瞬間だけは少し緊張した。

あのぬるっと出てきた謎のものを思い出してしまったから。

今回分かった。

変だと思った食べ物は、無理して判断しない方がいい。

そして、返品じゃなくても確認していい。

198円のアボカドでも、ちゃんと見てくれる店はある。

帰り際、レジの女性が最後に言った。

「気づいて持ってきてくださって、ありがとうございます」

あれを聞いて、ちょっと大げさだけど、持って行ってよかったと思った。

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