ポストを開けた時、最初はただの通知かと思った。
いつものチラシ。
請求書。
どうでもいい案内。
その中に、少しだけ見慣れた名前があった。
「嵐ファンクラブ」
指先が止まった。
封筒の紙は薄いのに、急に重く感じた。
私は玄関に立ったまま、しばらく開けられなかった。
中身が何か、なんとなく分かっていたからだ。
嬉しいお知らせではない。
新しい企画でもない。
ライブの案内でもない。
たぶん、区切りの知らせ。
そう思っただけで、胸の奥がきゅっとなった。
テーブルに座って、ゆっくり封を切った。
出てきたのは、払出通知票。
そこには金額が書かれていた。
三百三十円。
たった三百三十円。
でも、その数字を見た瞬間、私は笑えなかった。
嵐へ温かい声援を賜りまして。
心より御礼申し上げます。
二〇二六年六月以降の年会費を返金いたします。
丁寧な文章だった。
事務的なのに、やけに優しかった。
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