今日は、久しぶりにスーパーに行った。
買い物リストを片手に、カートを押しながら通路を進む。
平日の昼下がり。店内は人もまばらで、気楽な気分だった。
そのとき、目に入ったのは唯一仲の良かったママ。
子ども同士が同じ学年で、少し話すだけで気が楽になれる存在だった。
「こんにちは!」
声をかけた瞬間、彼女の手が差し出され、何かを渡された。
手に取ると、薄い紙が一枚。
無造作に折りたたまれたそれには、ぎっしりと手書きの文字。
「〇〇ちゃん、ママに喋るなと言われててごめんね。
連絡もダメで、当分は許して。
手紙もらったことも内緒でお願い泣」
一瞬、息が止まった。
心の中で、思わず「え?」と声が出そうになる。
紙を握る手が少し震える。
目の前のママは何も言わず、微笑むだけ。
周囲のスーパーのざわめきが、異様に大きく感じられる。
文字を読み進めるほど、胸の奥がざわつく。
「内緒でお願い泣」――泣き顔の絵文字か、強調された文字の意味か、
それを見て、思わず笑いそうになる自分と、苛立つ自分が交錯する。
どうして、こんな状況になったのか。
ボスママの存在が、日常をこんなにも窮屈にしていたのか。
私の子どもは悪くない。なのに、まるで罪を背負わされるような気分になる。
手紙を握ったまま、私は少し考え込む。
これを他の人に話してはいけない――つまり孤立させられているわけだ。
スーパーで立ち止まり、カートの持ち手に力を込める。
心の中で、イライラと苛立ちが渦巻く。
でも同時に、少し微笑ましい部分もある。
子どもたちのやり取りや、ママ同士の影のルール――
それが、この紙に凝縮されているようで、妙に現実味がある。
私は「ふぅ」と小さく息を吐き、手紙をポケットにしまう。
結局、スーパーの通路を歩きながら、
頭の中ではこの紙をどう扱うかを考える。
黙って子どもに話さずに過ごすべきか。
でも、正直言って少し笑える。
「ボスママって、本当にめんどくさーい」
心の中で呟く。
イライラするし、本当に面倒だ。
でも、この手紙のおかげで、少しだけ日常がドラマチックになった気もする。
結局、手紙をもらったことを誰にも言わず、
少し頭を振って、スーパーの出口へと進む。
外の光が眩しい。
心の奥では、ボスママに対する複雑な感情と、ちょっとした笑いが同居していた。
日常の小さな事件――でも、心に残る。
紙一枚で、世界は少しだけ揺れる。
そして、私は思う。
「もうちょっとだけ、ボスママとの付き合い方を考えないとな…」
ポケットの手紙を握りしめながら、今日もスーパーを後にした。