田んぼに入る朝は、いつも少しだけ気持ちが引き締まる。
まだ空気が冷たくて、足元の土には夜露が残っている。
風が吹くと、稲の葉がさらさらと音を立てる。
その音を聞くたびに、今年もここまで来たなと思う。
米は、勝手にできるものではない。
水を見て、草を抜いて、天気を気にして、虫を見て、台風を心配して。
毎日少しずつ手をかけて、ようやく実る。
だから田んぼは、私にとってただの土地ではない。
生活であり、仕事であり、食べ物の始まりだ。
その日も、いつものように田んぼの様子を見に行った。
畦道を歩きながら、水の入り具合を確認する。
葉の色を見る。
ゴミが流れ込んでいないかを見る。
すると、田んぼの端に妙なものが見えた。
最初は石かと思った。
でも近づいて、すぐに違うと分かった。
ペットボトル。
空き缶。
お菓子の袋。
紙くず。
潰れた缶まである。
しかも、ひとつやふたつではない。
誰かが食べて、飲んで、そのまま捨てていったような量だった。
私はしばらく、そこに立ち尽くした。
怒りより先に、ため息が出た。
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