翌日、その子をうちに連れて帰った。
母がお風呂を沸かして待っていた。
「ゆっくり入っていきな。」
その子がお風呂に入った。
長い時間、出てこなかった。
心配になって声をかけた。
「大丈夫。」
「大丈夫。」
声が少し震えていた。
出てきた時、目が赤かった。
「泣いてたの。」
「泣いてない。」
でも泣いていた。
母がご飯を出した。
その子がすごい勢いで食べた。
「ゆっくり食べな。」
「美味しい。」
「おかわりもあるよ。」
3杯食べた。
帰り際、その子が母に頭を下げた。
「ありがとうございました。」
「また来な。」
「いいんですか。」
「いつでも来な。」
それから、その子は週に何度かうちに来た。
お風呂に入って、ご飯を食べて帰った。
ある日、母に聞いた。
「なんであの子にそこまでするの。」
母が少し間を置いた。
「昔の私と同じだから。」
「どういうこと。」
「お母さんも子供の頃、お風呂に入れない時期があった。」
「その時、近所のおばさんが入れてくれた。」
「だから今度は私がやる番なの。」
2週間お風呂に入れなかった女の子に手を差し伸べた理由が、母自身が差し伸べてもらった過去だった。
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