コンビニで会計をしようとした時だった。
レジにいた外国人の店員が、突然こちらを見て言った。
「お兄さん、英語わかる?」
かなりカタコトだった。
私はてっきり、日本語でうまく説明できないことでもあるのかと思った。
だから、
「少しだけなら」
と答えた。
すると店員は急にニヤッと笑った。
そして意味不明なことを言い出した。
「じゃあ、『何年契約ですか』を英語で言え」
私は一瞬固まった。
いや、何?
なんで突然英語テストが始まるの?
しかもコンビニのレジで?
状況が理解できずにいると、その店員は勝ち誇ったような顔で言った。
「ほら答えられない。」
さらに追い打ちをかけるように、
「これだから日本人は……笑」
と言ってきた。
正直、腹が立った。
でも同時に違和感もあった。
そもそも、
「何年契約ですか」
って英語で一つの正解があるような文章じゃない。
携帯の契約なのか。
賃貸契約なのか。
保険なのか。
文脈によって言い方はいくらでも変わる。
だから私は聞き返した。
「ちなみに正解は何なんですか?」
すると店員は少し表情が固まった。
そして、
「えっと……」
と言ったまま止まった。
私は続けた。
「携帯契約ですか?」
「賃貸契約ですか?」
「保険ですか?」
「それによって英語変わりますよね?」
さっきまで偉そうだった店員の顔色が変わった。
すると後ろで並んでいたサラリーマンが笑いながら言った。
「確かに。」
さらに別のお客さんも、
「それ問題として成立してなくない?」
と言った。
空気が一気に変わった。
店員は慌てて、
「いや、そういうことじゃなくて……」
とごまかし始めた。
でもさっきまでの勢いはどこにもなかった。
私は最後にこう言った。
「英語ができるかどうかより、人を見下すために使う方が問題じゃないですか?」
店員は何も言い返せなかった。
結局、そのまま会計だけ済ませて店を出た。
帰り道、少し考えた。
英語が話せる人はすごい。
外国語を学ぶ努力も本当に尊敬する。
でも、本当に語学ができる人って、相手を試したり馬鹿にしたりしない。
知らない人に突然問題を出して、答えられなかったら笑う。
そんなのは語学力じゃなくて、ただのマウントだ。
あの日コンビニで見たのは、
英語ができる人ではなかった。
知識を使って人を見下したかった人だった。
そして一番恥ずかしい思いをしたのも、
結局その人だった。
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