「義母が亡くなった」
私は双子を妊娠していた。
6か月。お腹はもう目立つ。
周りは言った。
「妊婦は喪に関わらないほうがいい」
「棺には近づかないほうがいい」
言われた通りにした。
でも全部じゃない。
あの人は夫の母だった。
家に入るとき、私を迎えてくれた人だった。
最後くらいは見送りたかった。
祭壇の前に座り、手を合わせる。
涙は溢れなかった。
でも胸の奥は張り裂けそうだった。
義母がいなくなり、この家は一気に崩れた。
義父は何もできない人だった。
ずっと義母に任せきりで生きてきた人。
四十九日も過ぎないうちに、義弟の妻が言った。
「一人で住ませるのは心配。兄弟で交代で引き取ろう」
私は大きなお腹で、深く考えず頷いた。
でも順番が回ってきたとき、
「うちは狭いから」と言われた。
物置部屋に住まわせるつもりだったらしい。
涙が止まらなかった。
「交代はもういいです」
私は言った。
「お義父さんは、うちで暮らしてください」
私たちの家も広くない。
2LDKだ。
折りたたみベッドを買った。
リビングに置いた。
「少しの間だけ、我慢してください」
義父にそう伝える。
義父はただ「うん」と言った。
その夜、リビングからため息が何度も聞こえた。
出産は帝王切開だった。
手術室から出ると、廊下の奥に義父が立っていた。
手には保温ポット。
「朝4時に起きて、お粥を作ってきた」
病院の食事は心配だと。
母乳が足りず、子どもたちは泣き続けた。
義父は自転車で遠くまで行き、魚を買ってきた。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください