彼女の足に赤い跡を見つけたのは、付き合って二年目の夏だった。
最初は、本当に虫刺されだと思った。
ふくらはぎに数カ所。
足首の近くにも、小さく赤い跡があった。
「大丈夫?」
私が聞くと、彼女は一瞬だけ固まった。
そして、すぐに笑った。
「たぶんダニかな。最近ちょっとかゆくて」
その言い方が自然だったから、私はそれ以上聞かなかった。
でも、それから彼女は少しずつ変わった。
以前は、休日になると私の家に泊まりに来ていた。
一緒に映画を見て、夜更かしして、朝はだらだら起きる。
そんな普通の時間が、私は好きだった。
けれど、その頃から彼女は泊まりを避けるようになった。
「肌が荒れてるから」
「見られたくないから」
「治るまで待って」
そう言って、私が近づくと足を隠した。
私は彼女を責めなかった。
誰だって、体のことで見られたくない部分はある。
それに、彼女は本当に落ち込んでいるように見えた。
「こんな足、嫌でしょ」
ある夜、彼女は布団の中でそう言った。
私はすぐに首を振った。
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