店を閉めたあとの厨房は、妙に静かだった。
さっきまで皿の音や注文の声で騒がしかった空間に、換気扇の低い音だけが残っている。
私はカウンターの端に置かれたレシートをぼんやり見ながら、スマホの記事を読んでいた。
そこには、また同じような言葉が並んでいた。
「消費税をゼロにするにはレジ対応が大変」
「システム改修に時間がかかる」
「現場が混乱する」
私は思わず、画面に向かって小さくつぶやいた。
「本当に?」
飲食店をやっていると、レジは毎日触る。
売上も、税率も、軽減税率も、現金もカードも、全部レジの中で処理される。
もちろん機械が苦手な人もいる。
古い機種の店もある。
それは分かる。
でも、まるで全国のレジが巨大な宇宙船みたいに扱われているのを見ると、さすがに違和感があった。
隣で片付けをしていたスタッフが、私の顔を見て言った。
「どうしたんですか?また難しい顔してますよ」
「消費税ゼロはレジが大変だから無理、みたいな話」
そう言うと、スタッフはゴミ袋を縛りながら笑った。
「うちのレジなら、設定変えるだけじゃないですか?」
その一言で、私は完全に目が覚めた。
だったら試してみればいい。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください