あの日は青空がまぶしくて、絶好のバイク日和だった。
俺はいつものようにライディングブーツを履き、革ジャンを着込み、ヘルメットのシールドを下ろした。風を切る感覚が気持ちよく、走るたびに心が軽くなる。だが、その日、たった一瞬の油断で人生が変わるとは思わなかった。
信号待ちで停車した。前には大型のクレーン車がゆっくりと止まっている。ブレーキランプが見えた瞬間、目を疑った。金属の塊がこちらに迫る。クラクションを鳴らす暇もなく、背後から強烈な衝撃が走った。俺の左足に激痛が走り、ライディングブーツが音を立ててつぶれた。目の前が一瞬真っ白になり、声も出ない。信号待ちの短い時間で、12トンの鉄の塊に足を踏み潰されるとは、夢にも思わなかった。
倒れた瞬間、痛みが波のように押し寄せる。血と土の匂い、エンジンの振動、周囲のざわめき。周りの車も止まり、驚いた顔でこちらを見ている。幸いにも骨は折れていなかったが、肉が押しつぶされ、靴の中はぐちゃぐちゃだ。冷や汗と痛みで震える手でブーツを脱ぐと、左足は見るも無惨な状態だった。
赤紫色に腫れ上がり、皮膚は擦れて血が滲む。
俺はその場で呼吸を整えながら、自分の無力さを噛み締める。あの瞬間、無事だったのは奇跡だった。もしブーツを履いていなければ、骨折だけで済むはずもなく、もっと大きな事故になっていただろう。ライディングブーツの重要性を、身をもって痛感した瞬間だった。
事故処理が進む中、警察や通行人が心配そうに声をかける。「大丈夫ですか?」、「救急車呼びますか?」。俺は痛みに耐えながらも、声を振り絞り「大丈夫です」と答えた。頭の中では、もしこれが普通の靴だったら、もっと悲惨な結末になっていただろうという思いがぐるぐる回る。
その後、病院に搬送され、処置を受ける。医師は慎重に足の状態を確認し、骨折はないと告げる。「ラッキーですね」と言われても、痛みと靴の破壊具合に笑う余裕はなかった。心の中で反芻する。「ライディングブーツ…絶対に履け」。これだけは他のライダーに伝えたい。どんなに短い距離でも、ブーツは命を守る防具だ。
帰宅後、潰れたブーツを見て思う。革は裂け、金具は曲がり、足の痕がくっきり残っている。
笑えないが、同時に心の底からありがたさを感じた。あのブーツがなければ、今頃歩くことすらできなかったかもしれない。
今回の事故で、痛みだけでなく、後悔や学びも得た。ライダーにとって安全装備は単なる装飾や気分の問題ではない。命を守るための最前線の鎧だ。教訓を胸に刻み、今後のライディングに生かすしかない。
最後に一言。ライダーの皆、どんな短い距離でも、必ずライディングブーツを履け。
軽視して後悔するのは、俺だけで十分だ。痛みと恐怖を体験した今、笑えないけど、この教訓を伝えなければならない。ブーツが足を守ってくれた。それだけで俺は生きている。
安全第一、命あってのバイクだ。ブーツを履く勇気が、未来の自分を救う。