先週の木曜日、息子の帰りがいつもより遅かった。
小学6年生になってから、少しずつ無口になった息子。
それでも帰宅すると、いつもなら玄関で「ただいま」と言って、ランドセルを勢いよく下ろす。
でもその日は違った。
ドアを開けた息子は、背中を丸めたまま、しばらく玄関に立っていた。
ランドセルの黒い背中が、いつもより大きく見えた。
「遅かったね」
私が声をかけると、息子は靴を脱ぎながら言った。
「保健室に寄ってた」
声が低かった。
顔を上げた息子の目は、赤かった。
泣いたあとだと、すぐにわかった。
「何があったの」
そう聞くと、息子は首を横に振った。
「別に」
その「別に」が、別にじゃないことくらい、親ならわかる。
私は夕飯の支度を止めて、息子の前に座った。
「怒らないから言って」
息子はしばらく黙っていた。
それから、ぽつりぽつりと話し始めた。
クラスにBさんという子がいる。
おとなしくて、あまり強く言い返せない子。
その子が、給食の時間に毎日のように牛乳を奪われていた。
「いらないんでしょ」と言われ、断ると笑われる。
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