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赤ちゃん抱えて730円のワンメーター。無言の運転手にお礼を言った瞬間、タクシーが切り返しで私と子どもをかすめていった
2026/02/04

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たった730円だった。
駅前から自宅まで、歩いても10分ちょっとの距離。

でもその日は、無理だった。

胸には抱っこ紐で赤ちゃん。
両手にはスーパーの重たいレジ袋。
寝不足、腰はバキバキ、頭はずっとボーッとしてる。

新生児期って、ほんと地獄。

夜は細切れ睡眠。
昼はオムツ、授乳、洗濯、買い出し。
自分のトイレすら落ち着いて行けない。

「もう限界…」

そう思って、私はタクシーに乗った。

ワンメーター。730円。

運転手は最初から最後まで無言。
ミラー越しの目も合わない。

まあいい。早く帰れれば。

到着。
私は習慣で言った。

「ありがとうございました」

返事なし。

まあ、そんな人もいるよね…と思いながら、私は車を降りた。

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赤ちゃんを胸に抱え直し、袋を持ち替え、歩道側に一歩出た。

その瞬間。

――ブオオオオッ!!!

後ろでエンジンが吠えた。

次の瞬間、タクシーが猛スピードでバックしてきた。

ゆっくりじゃない。
迷いゼロ。アクセル踏み抜き。

私は反射的に体をひねって、赤ちゃんを内側に抱き込んだ。

レジ袋が手から落ちる。
卵が割れる音。
牛乳が地面に広がる。

車体が、私の背中スレスレを通過した。

本当に、紙一重。

足が震えて動かなかった。
心臓が喉まで飛び出そうだった。

そのとき、近くにいた男性が叫んだ。

「おい!!今の危ねえだろ!!」

別の女性も走ってきてくれた。

「大丈夫!?赤ちゃん!!」

その声で、やっと現実に戻った。

タクシーは少し先で止まっていた。

男性が車の前に立ちふさがり、ナンバーをスマホで撮影。

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女性は私の肩を支えながら

「今の、見てました。完全に危険運転です」

って、震える私に言ってくれた。

その場で会社名と車番を確認。

私は帰宅してから、すぐにタクシー会社へ電話した。

声は震えてたけど、全部話した。

赤ちゃんを抱いていたこと。
730円のワンメーターだったこと。

降車直後に急加速でバックされたこと。
通行人の目撃者がいること。

数日後、会社から正式な謝罪。

ドライブレコーダーと聞き取りの結果、
その運転手は危険運転で乗務停止処分になったと連絡が来た。

正直、ホッとした。

でも同時に、怒りも込み上げた。

私、何も悪いことしてない。

疲れ切った母親が、赤ちゃん抱いて、
たった730円で帰宅しようとしただけ。

それだけ。

なのに。

無言で。
無表情で。
最後はアクセル踏んで命を奪いにくる。

ふざけんなよ。

こっちは毎日、睡眠削って、体力削って、
必死で小さな命守ってんだよ。

あんたのストレスの捌け口になるために

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子ども産んだわけじゃない。

あの時、通報しなかったら。
路上で倒れ込んで終わってたら。
もし子どもが外側だったら。

今ここに、私はいなかったかもしれない。

だから書く。

育児でボロボロの人。
赤ちゃん抱えて遠慮してる人。

我慢しなくていい。
大げさじゃない。
あなたの命は730円よりずっと重い。

そして運転席に座る人間へ。

ハンドル握るってことは、
他人の人生を預かってるってことだ。

忘れるな。

730円は安い。
でも命は、クソほど高い。

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