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「70代女性の車が歩行者専用地下通路に進入」注意しても無反応…点字ブロック上を走る危険車両を見た私が駅員へ向かった話
2026/06/24

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駅の地下通路を歩いていた。

いつもの通勤時間だった。

天井の低い通路に、足音が反響している。

右からは改札へ向かう人。

左からはバス乗り場へ急ぐ人。

スーツ姿の男性。

買い物袋を下げた女性。

小さな子どもの手を引く親。

誰もが、いつものように歩いていた。

そこは歩行者専用の地下通路だった。

車が入る場所ではない。

当たり前すぎて、普段なら意識すらしない。

車道と歩道は違う。

地下通路と道路は違う。

小学生でも分かる。

そう思っていた。

その時だった。

奥の方から、変な音が聞こえた。

足音ではない。

キャリーケースの音でもない。

低いエンジン音。

ゴロゴロと、地下に響くような音。

私は思わず顔を上げた。

次の瞬間、目の前の景色が理解できなくなった。

黒い車がいた。

地下通路の真ん中に。

普通に。

まるで駅前ロータリーにでも入ってきたような顔で、歩行者専用の通路を進んできていた。

私は一瞬、固まった。

え。

車?

ここ、地下通路だよね?

私の頭が現実を処理する前に、周囲の人たちがざわつき始めた。

「危ない!」

「ここ車ダメですよ!」

「止まってください!」

何人かが声を上げた。

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私も反射的に横へ避けた。

点字ブロックの上を車が塞ぐ。

ベビーカーを押していた人が慌てて壁際に寄る。

年配の男性が手すりにつかまって、目を見開いていた。

本来、人が安心して歩くための通路が、一瞬で避難路になった。

車はゆっくり進んでいた。

スピードが出ていなかったのがせめてもの救いだった。

でも、それで安全になるわけではない。

地下通路は車のために作られていない。

幅も狭い。

逃げ場も少ない。

曲がり角もある。

もし誰かが転んだら。

もし子どもが飛び出したら。

もし高齢者が動けなかったら。

考えただけで背中が冷えた。

運転席には、七十代くらいの女性がいた。

顔は前を向いたまま。

周囲の声が聞こえているのか、聞こえていないのか。

誰かが窓越しに注意しても、反応が薄い。

まるで、自分がとんでもない場所にいることに気づいていないようだった。

その様子が、余計に怖かった。

怒鳴って逆ギレする人も怖い。

でも、状況を理解していないまま進む車は、もっと怖い。

だって、止まる理由を本人が分かっていない。

こちらがどれだけ「危ない」と叫んでも、相手の中で危険信号が鳴っていなければ意味がない。

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私は壁際に寄りながら、心臓が強く打つのを感じた。

こんな場所で、車にひかれるかもしれないと思う日が来るとは思わなかった。

横断歩道でもない。

駐車場でもない。

駅の地下通路だ。

歩行者専用だ。

それなのに、こちらが車から逃げている。

理不尽にもほどがある。

近くの男性が、車の前方へ回ろうとした。

でも、誰かが止めた。

「危ないから近づかないで!」

その判断は正しかったと思う。

車が止まは正しかったと思うるかどうか分からない。

運転手がブレーキとアクセルを踏み間違えたら、一瞬で事故になる。

注意したい。

止めたい。

でも、近づくのも危険。

そのもどかしさで、通路全体の空気が張り詰めた。

やがて、駅員か関係者らしき人が駆けつけた。

通行人たちは少しずつ誘導され、車の周囲に距離が作られた。

私はその様子を見ながら、怒りが遅れて湧いてきた。

どうしてここまで入ってきたのか。

入口で気づかなかったのか。

標識はなかったのか。

段差や構造で分からなかったのか。

理由はいろいろ考えられる。

でも、結果として歩行者が危険にさらされた。

そこは消えない。

高齢者だから仕方ない、で済ませていい話ではない。

誰でもミスはする。

道を間違えることもある。

でも、車を運転する以上、そのミスが人の命に直結する。

地下通路に車で入るというのは、道を一本間違えました、のレベルではない。

もはやジャンルが違う。

道路から駅構内へ、世界線ごと間違えている。

周囲の人たちは、しばらくざわついていた。

「怖かった」

「信じられない」

「子どもいたら危なかったよ」

誰かの声が、通路の壁に跳ね返った。

私も同じ気持ちだった。

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怖かった。

そして、腹が立った。

歩行者専用という言葉は、飾りではない。

そこを歩く人の安全を守るためにある。

車が入ってこない前提で、人は安心して歩いている。

その前提を一台の車が破った瞬間、通路はただの危険地帯になる。

私は改札へ向かいながら、何度も振り返った。

あの車は、場違いという言葉では足りないほど浮いていた。

地下通路の真ん中に車。

注意しても無反応。

七十代の女性が運転。

ニュースの見出しなら一行で済む。

でも、その場にいた人間にとっては、心臓が冷える数分間だった。

もし誰かが巻き込まれていたら。

もし点字ブロックを頼りに歩く人がいたら。

もし幼い子が走っていたら。

「間違えました」では戻らない。

最後に私は思った。

車は便利だ。

でも、運転する人が場所を間違えた瞬間、便利な乗り物は凶器になる。

地下通路で必要なのは、アクセルではなく、足で歩く常識だ。

歩行者専用の地下道に車で入ってくるなんて、さすがに人生のナビを再起動した方がいい。

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