電車の優先席に座っていた時のことです。
その日は朝から足の調子があまりよくなくて、立ち続けるのがきつかった。
だから空いていた優先席に座って、静かに目的地までやり過ごそうとしていた。
すると突然、目の前に立ったおじさんが大きな声で怒鳴ってきた。
「立てよ!」
「若いくせに何座ってるんだ!」
「みっともない!」
一気に車内の空気が変わりました。
さっきまでそれぞれスマホを見ていた人たちが、いっせいにこちらを見たのがわかった。
ああ、またか。
そう思いました。
見た目だけで判断されることには、もう慣れていないわけではありません。
でも、慣れているから平気という話ではない。
いきなり大声で「立て」と命令されて、周囲に見世物みたいにされて、嫌なものは嫌です。
しかも、こういう人は最初から決めつけている。
「若い」
「見た感じ健康そう」
それだけで、優先席に座る理由なんかないと思い込んでいる。
だから説明しようとは思いませんでした。
「実は義足なんです」
そう言えば済むのかもしれない。
でも、どうして私が、いきなり怒鳴ってきた相手に対して、自分の事情を差し出して納得させなければいけないのか。
どうしてこちらが証明しないといけないのか。
そんな理不尽さのほうが、いつも引っかかる。
おじさんはなおも言いました。
「そんな元気そうなのに優先席に座るな!」
「恥ずかしくないのか!」
私は何も言わず、ただ足元に手を伸ばしました。
そして、その場で義足を外しました。
大げさな動きではありません。
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