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「40年払って月7万円」レジ前で牛乳を戻したおばあさんを見て、この国の制度に本気で腹が立った
2026/04/29

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「牛乳、今日はやめます」

レジ前で、おばあさんがそう言って、カゴの中から小さな牛乳パックを戻した。

パンと卵と、薄い肉のパック。

それだけだった。

店員さんが合計金額を伝えると、おばあさんは財布の小銭入れを開いて、指先で何度も数え直していた。

足りないわけじゃない。

たぶん、今ここで買ったら、明日か明後日の分が苦しくなる。

そういう顔だった。

私は後ろに並んでいて、見てはいけないものを見てしまったような気持ちになった。

おばあさんは申し訳なさそうに笑って、

「年金日まで、あと少しだから」

と小さく言った。

その言葉で、店員さんの手が止まった。

聞けば、その人は若い頃からずっと働いて、40年近く年金を納めてきたらしい。

それでも、今の暮らしは月7万円前後。

家賃、電気、薬代、食費。

何を先に削るかを、毎日考えていると言っていた。

怒鳴ったわけじゃない。

誰かを責めたわけでもない。

ただ、牛乳を戻しただけ。

それが余計にきつかった。

その時、後ろのほうから大きな声が聞こえた。

「生活保護の申請って、医療費も家賃も相談できるんですよね?」

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電話で役所に確認している声だった。

永住資格がどうとか、必要書類がどうとか、そんな話も聞こえた。

その人が悪いと言いたいんじゃない。

困っている人を助ける制度は必要だと思う。

でも、目の前で40年まじめに払ってきた人が牛乳を諦めている。

その横で、制度を使えば支えられるものがいくつもある。

この差を見た瞬間、私はどうしても黙っていられなかった。

「すみません、その牛乳、私が買います」

思わずそう言った。

おばあさんは慌てて首を振った。

「いいのよ、そんなことしてもらう理由がないから」

その言い方がまた、苦しかった。

我慢することに慣れすぎている人の言葉だった。

すると、レジの店員さんが静かに店長を呼んだ。

店長は事情を聞くと、私に向かってこう言った。

「お客様のお気持ちは分かります。でも、これは店としてやらせてください」

そう言って、牛乳と卵を袋に入れた。

もちろん、店が毎回そんなことをできるわけじゃない。

でも店長は、おばあさんに押しつけるような渡し方はしなかった。

「今日、賞味期限の近い商品を確認していたところです。よろしければ、持って帰ってください」

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そう言った。

おばあさんは何度も頭を下げていた。

その姿を見て、私は情けなくなった。

本当は、スーパーの店長が気を遣う話じゃない。

隣に並んだ客が牛乳代を出す話でもない。

40年払ってきた人が、レジ前で小さな牛乳を戻さなくていい社会にする話だ。

困っている人を助ける制度は必要。

でも、真面目に納めてきた人が一番遠慮して、一番静かに削られていく仕組みは、どう考えてもおかしい。

帰り際、おばあさんが袋を抱えて私に言った。

「怒ってくれる人がいるだけで、少し救われるね」

その一言で、私は余計に腹が立った。

救われるべき人が、こんな小さなことで頭を下げている。

この国は、もっと先に見るべき人を間違えていると思う。

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