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「悲しい時は気にせず泣いて」入院中に限界だった私を救った、同じ病棟のお姉さんの手紙に涙が止まらなかった話
2026/06/25

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入院してから、夜がいちばん苦手になった。

昼間はまだいい。

看護師さんが来る。

検温がある。

採血がある。

先生の説明がある。

病棟の廊下を歩く音も聞こえる。

誰かのテレビの音も、ナースコールの音も、全部が少しだけ気を紛らわせてくれる。

でも、夜は違う。

病室の明かりが落ちる。

カーテンの向こうが静かになる。

天井の白さだけが、やけに冷たく見える。

点滴の管。

枕元の水。

検査予定の紙。

全部が急に現実味を増す。

私は布団の中で、声を殺して泣いていた。

大声で泣くほどの元気もない。

ただ、しくしくと涙が出る。

止めようと思っても止まらない。

入院は、想像していたよりずっと心細かった。

検査も怖い。

治療も怖い。

結果を聞くのも怖い。

家に帰れないこともつらい。

スマホを見ても、外の世界だけが普通に進んでいる。

友達はご飯を食べている。

誰かは遊びに行っている。

家族は「大丈夫?」と送ってくれる。

でも、その言葉を見ても、余計に泣けた。

大丈夫じゃない。

でも、大丈夫じゃないと言うのも申し訳ない。

そんな夜だった。

私は布団を頭までかぶっていた。

鼻をすすった音が、自分でも情けなく聞こえた。

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「こんなことで泣いてる場合じゃない」

そう思うのに、涙は勝手に落ちる。

体が弱ると、心まで薄い紙みたいになる。

少し触れられただけで、破れそうになる。

その時、カーテンの向こうで小さな気配がした。

誰かが歩いてくる音。

看護師さんかと思った。

私は慌てて涙を拭いた。

でも、入ってきたのは同じ病棟のお姉さんだった。

正確には、少し年上の患者さん。

何度か廊下で顔を合わせたことがある。

いつも静かに笑ってくれる人だった。

その人は私のベッドのそばに立つと、小さなピンクの紙を差し出した。

「これ、もしよかったら」

声も小さかった。

無理に励ます感じではなかった。

ただ、そっと置いていくみたいな優しさだった。

私は驚いて、うまく返事ができなかった。

「ありがとうございます」

それだけ言うのが精一杯だった。

お姉さんは軽く会釈して、自分のベッドの方へ戻っていった。

私はしばらく、その紙を見つめていた。

小さなメモ。

手書きの文字。

少し震えたような、でも丁寧な字。

私はゆっくり開いた。

そこには、こう書いてあった。

「私の思い込みでしたら、この手紙は捨てて下さい」

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最初の一文で、もう涙が出た。

押しつけないように。

踏み込みすぎないように。

私の気持ちを決めつけないように。

そんな気遣いが、その一文だけで伝わってきた。

続きには、こうあった。

「私に比べたら大した事ではないかもしれませんが、私も今つらいです」

私は息を止めた。

その人もつらかったのだ。

いつも静かに笑っていたから、気づかなかった。

廊下ですれ違う時も、穏やかに見えた。

でも、同じ病棟にいるということは、その人にも検査や治療がある。

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