私は昔から太れない体質です。
身長は156センチですが、体重は30キロ台前半。
食べる量が少ないわけではありません。むしろ人並み以上に食べる日もあります。でも、生まれつき胃腸が弱く、栄養をうまく吸収できない体質で、何をしても体重が増えません。
もちろん心配になって、何度も病院で検査を受けました。
血液検査も内視鏡も異常なし。
先生からも「体質ですね。健康ですよ」と言われています。
だから私は、自分の体を受け入れていました。
でも、周りは違いました。
最初に言われたのは、親戚が集まったお正月のことです。
実家でみんなで食事をしていて、私が上着を脱いだ瞬間でした。
近くにいた親戚のおばさんが私の背中を見て、
「えっ……骨、すごく浮いてる。」
とつぶやいたんです。
すると別の親戚まで、
「ここまで痩せてるって普通じゃないよね。」
「薬でもやってるんじゃない?」
「何か重い病気を隠してるとか?」
と笑いながら言い始めました。
私は慌ててスマホに保存していた健康診断の結果を見せました。
「本当に健康なんです。体質なんです。」
そう説明しても、
「冗談なのに。」
「そんなムキにならなくても。」
「気にしすぎ。」
と言われ、逆に私の方が空気を悪くしたような雰囲気になってしまいました。
両親まで、
「親戚なんだから悪気はないよ。」
と言って終わり。
その日以来、お盆でも法事でも、親戚が集まるたびに同じ話をされるようになりました。
「まだそんなに痩せてるの?」
「ちゃんと食べてる?」
「やっぱりどこか悪いんじゃない?」
私が部屋に入ると、みんなが背中や腕をじろじろ見る。
その視線が怖くて、夏でも半袖を避けるようになり、背中が見える服は何年も着られなくなりました。
さらに辛かったのは、結婚の挨拶で彼の実家へ行った時です。
食事の途中、彼のおばあさんが私の背中を見ながら、
「こんな体じゃ子どもは産めない。」
と言いました。
「気血が足りない顔をしてる。」
「お産で倒れるかもしれない。」
「うちはこういうお嫁さんは困る。」
彼が健康診断の結果を見せながら必死に説明してくれましたが、
「医者なんて何でも健康って言う。」
「年寄りには分かる。」
と聞く耳を持ってもらえませんでした。
それ以来、彼の実家へ行くたびに、
「もっと食べなさい。」
「肉を残しちゃダメ。」
「その体じゃ赤ちゃんがかわいそう。」
と言われ続けました。
私は悔しくて、本気で太ろうとしました。
親戚が集まる日は、「今日は絶対に何も言わせない」と思って、ご飯を三杯無理やり食べたこともあります。
でも食べ終わる頃には胃が痛くなって、吐き気がして、胃薬を飲むしかありませんでした。
すると今度は、
「また食べるフリ?」
「細い自慢したいだけでしょ。
」
「本当はダイエットしてるんじゃないの?」
と言われました。
胃薬を見せても、
「言い訳しなくていいから。」
と笑われるだけ。
その時、ようやく分かったんです。
みんなが見ているのは、本当の私じゃない。
「痩せている人は食べていない。」
「痩せている人は病気。」
そんな勝手な思い込みだけでした。
今でも体重は変わりません。
でも、もう無理に食べることもしません。
健康診断の結果を見せて理解してもらおうとも思いません。
最初から信じる気のない人に、何を説明しても届かない。
何年も傷ついて、やっとそれだけは学びました。
それから数年が経ちました。
私は結婚し、医師からも問題ないと言われた通り、無事に元気な子どもを出産しました。
あれだけ、
「その体じゃ子どもは産めない。」
「お産で命が危ない。」
と言っていた人たちは、何事もなかったような顔をしています。
でも今度は今度で、
「まだ細いね。」
「ちゃんとご飯食べてる?」
「母乳出てるの?」
と言われます。
結局、何をしても言う人は言うんですよね。
昔の私は、そのたびに説明していました。
健康診断の結果を見せたり、体質だと話したり、無理に食べたり。
でも今は違います。
「体質なんです。」
そう一言だけ言って、笑って終わりです。
信じない人にまで理解してもらおうとは思わなくなりました。
私の体のことを一番知っているのは、親戚でも、他人でもありません。
毎年診てくれている先生と、毎日この体で生きている私自身です。
だからもう、誰に何を言われても気になりません。
痩せていることは、悪いことでも、恥ずかしいことでもない。
人の体を勝手な思い込みだけで決めつけることのほうが、ずっと恥ずかしいことだと、今は心から思っています。
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