生後3か月の娘がいます。
夜になると何度も泣いてしまい、そのたびに私は「また隣の人を起こしてしまったかもしれない」と胸が苦しくなっていました。
抱っこをしても泣き止まない日もあります。ミルクを飲ませても、おむつを替えても泣き続けることもありました。
泣き声が響かないように慌てて窓を閉め、娘をあやしながら、何度も「ごめんね、ごめんね」と心の中で隣人に謝っていました。
そんなある日、仕事から帰ってポストを開けると、一枚の手紙が入っていました。
差出人は「3号室」。
ちょうど隣の部屋です。
「ついに苦情が来た……」
そう思った瞬間、心臓がドキッとしました。
恐る恐る封を開けると、そこには予想とはまったく違う言葉が書かれていたのです。
「赤ちゃんがいるとのことで、この手紙を入れました。
泣き声は全然気にならないのですが、逆に静かすぎる方が心配です。
夜泣きをしなくなったり、あまりにも静かな日が続いたら、壁を軽く叩いて知らせていただけると安心します。」
読み終えた瞬間、涙があふれました。
迷惑をかけていると思い込み、毎日申し訳ない気持ちで過ごしていた私にとって、その手紙は救いそのものでした。
数日後、廊下で隣の方と顔を合わせたので、お礼を伝えると、その方は優しく笑いながら言いました。
「赤ちゃんの泣き声は元気な証拠だから。静かすぎる方が、私は心配なんですよ。」
その一言に、また胸が熱くなりました。
世の中には子どもの泣き声を迷惑だと感じる人もいます。でも、こんなふうに誰かを思いやる人もいる。
顔もほとんど知らない隣人の優しさに、子育ての不安でいっぱいだった心が少し軽くなりました。
あの日の手紙は、今でも大切に保管しています。
「人は見た目によらない。」
そんな言葉がありますが、本当にその通りだと実感しました。
子どもの泣き声に耳をふさぐのではなく、その向こうで頑張っている親子を思いやる。
そんな優しさが、もっと当たり前の世の中になってほしいと心から思います。
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