あの頃の私は、本当にお金のことで頭がいっぱいだった。
後払い、分割、カード、知人からの借入。
返済先が増えすぎて、何日にどこへいくら払うのか、書き出さないともう頭が追いつかない。
給料日が来ても安心なんて一瞬で、振り込まれたその日から、もう“自分のお金”じゃなくなる。
家賃、生活費、子どもにかかるもの、そして返済。
気がつけば、私の口座はいつも通り過ぎるだけの場所になっていた。
そんな時に50万円を貸してくれたのが、学生時代からの友人だった。
「大丈夫? 無理しないで。ほんとに困った時はお互いさまでしょ」
そう言ってくれた時、私は泣きそうなくらい嬉しかった。
この人には一生頭が上がらない、そう思った。
だから私は、どれだけ苦しくても彼女への返済を優先した。
自分はコンビニのおにぎり一個で済ませても、彼女にだけは遅れたくなかった。
“助けてもらった恩”があったからだ。
でも、全部がひっくり返ったのは、数か月後の同窓会だった。
久しぶりの顔ぶれの中で、私はできるだけ普通に振る舞っていた。
借金のことなんて誰にも知られたくなかったし、せめてその場だけは笑っていたかった。
ところが、お酒が回ってきた頃、その友人が急に笑いながら言った。
「いやでも、この子ほんとすごいよ?
借金あんなにあるのに、普通の顔して仕事してるんだから。私だったら無理かも」
一瞬、耳を疑った。
周りは「え、どういうこと?」みたいな顔で彼女を見る。
すると彼女はさらに、わざとらしく肩をすくめながら言った。
「まあ、私も50万貸してるんだけどね。
でも大丈夫、大丈夫。ゆっくり返してくれればいいから」
その場にいた何人かが、気まずそうに笑った。
私は笑えなかった。
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