10%引きのシールを見て「今日はちょっと得したな」と思った数分後、私はレシートを見て固まった。
在日10年目。
スーパーの値引きシールくらい、もう慣れているつもりだった。
夕方のスーパー。
惣菜コーナーには、仕事帰りの人たちが次々に集まっていた。
揚げ物、弁当、そば、寿司。
あちこちに値引きシールが貼られている。
私はその中で、そばの入ったパックを手に取った。
赤く目立つシール。
「10%引」
うん、悪くない。
本体価格399円。
10%引きなら少しだけ安くなる。
たった数十円でも、こういう小さな得って地味にうれしい。
私は何の疑いもなく、その商品をカゴに入れた。
レジに並びながら、心の中ではもう夕飯のことを考えていた。
「今日は疲れたし、これでいいや」
「10%引きなら、まあいい買い物したかも」
そんな軽い気持ちだった。
ところが、会計が終わってレシートを見た瞬間。
あれ?
値引きされてない。
いや、見間違いかと思った。
もう一度見た。
商品名。
価格。
合計。
どう見ても、割引が反映されていない。
私は一瞬、頭の中が真っ白になった。
在日10年目にして、こんな初歩的なトラップに引っかかったの?
しかもたった10%。
金額にしたら大きくない。
でも問題はそこじゃない。
「値引きシールが貼ってあるから買った」のに、会計ではそのままの金額。
これ、普通におかしくない?
私は商品を持って、サービスカウンターへ向かった。
「あの、これ10%引きのシールが貼ってあったんですけど、レシートを見ると割引されていないみたいで」
できるだけ穏やかに言った。
店員さんは商品を見て、レシートを見て、シールを見た。
そして、少し困った顔で言った。
「あー、たぶんシールの更新が間に合ってなかったんですね」
更新が間に合ってなかった?
私は一瞬、意味が分からなかった。
「でも、商品には10%引きって貼ってありますよね?」
「はい。でもレジの登録が……」
その言い方が、何ともモヤッとした。
まるで、こちらが細かいことを言っているみたいな空気。
私は言った。
「じゃあ、10%引きで処理してもらえますか?」
すると店員さんは少し間を置いて、
「一度会計済みなので、返品はちょっと……」
と言った。
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