玄関の前で、営業マンが一瞬固まった。
ピンポンを押す前に、ドアに貼られた一枚の紙が目に入ったからだ。
そこには大きな赤い文字で、こう書かれていた。
「飛び込み営業の方へ❤︎」
ここまでは、よくある貼り紙だと思う。
「セールスお断り」
「勧誘はご遠慮ください」
「インターホンを押さないでください」
そんな内容を想像する人が多いはずだ。
でも、この貼り紙は違った。
「ノックをして入室後、一発芸をお願いいたします」
……一発芸?
営業マンは、たぶん心の中で二度読んだと思う。
売り込みに来たはずなのに、いきなり芸を求められる。
しかも、次の条件がさらに厳しい。
「ウケた場合、3分間はお話を聞きます」
つまり、契約の前にまず笑いを取れということだ。
資料の説明より先に、商品の魅力より先に、価格の安さより先に。
まずは玄関先で一発勝負。
ウケれば3分。
スベれば終了。
そして、もっと容赦ない一文が続く。
「ウケなかった場合、即座にお帰りいただいております」
ここで完全に勝負が決まる。
営業トークの上手さではない。
人柄でもない。
会社名でもない。
その場の空気を一発で変えられるかどうか。
しかも最後には、こんな注意書きまである。
「変に食い下がった場合、激しい罰例を受ける可能性があります」
もはや普通の“営業お断り”ではない。
これは、玄関に掲げられた小さなルールブックだ。
でも、不思議と嫌な感じがしない。
むしろ、ただ「来るな」と突き放すより、どこかユーモアがある。
断っているのに、ちょっとだけ遊び心がある。
怒っているようで、笑わせにきている。
だからこそ、この貼り紙を見た人たちの反応も分かれる。
「これは天才」
「営業マンにはきつすぎる」
「でも飛び込み営業って本当に困る」
「一発芸できる人だけ生き残る世界」
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