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スーパーで息子を抱いていたら、知らない男が30cmの距離まで顔を寄せてきた。俺が最後まで目を合わせなかった理由
2026/04/29

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スーパーで息子を抱いて歩いていた。

妻は少し離れたところで野菜を見ていて、俺は息子を抱っこしたまま、カートの横に立っていた。

その時、冷蔵ケースのガラスに、妙に近い顔が映った。

最初は、たまたま後ろを通った人だと思った。

でも違った。

男は商品を見るでもなく、棚を見るでもなく、息子の顔をのぞき込むように、横からゆっくり近づいてきた。

距離が近い。

本当に近い。

知らない大人が、赤ちゃんの顔をそこまで見る必要あるか、という距離だった。

俺はすぐに振り向かなかった。

目を合わせたら、相手がどう出るか分からない。

息子を抱いたまま揉めるのだけは避けたかった。

だから、何も気づいていないふりをして、カートを少し押しながら野菜売り場を離れた。

惣菜売り場の方へ歩く。

すると、後ろから同じ足音がついてきた。

早歩きではない。

でも、離れない。

俺が棚の前で止まると、男も少し離れて止まる。

俺がまた歩くと、男も歩く。

その時点で、腹の中が一気に冷えた。

息子は何も知らずに、俺の服を握っていた。

この小さい手を見た瞬間、怒鳴るより先に、守る方を選ばないといけないと思った。

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俺はスマホを片手で出して、妻に短く送った。

「店員さん呼んで。こっちに来ないで」

妻からすぐに返信が来た。

「わかった」

俺は息子の向きを変えた。

男側に顔が向かないように、息子を自分の内側へ抱き直した。

カートも、わざと自分と男の間に置いた。

男はまだいた。

今度は惣菜の棚を見るふりをしながら、顔だけこちらに向けている。

正直、声を出したかった。

「何見てるんですか」

そう言いたかった。

でも、こっちは片腕に息子を抱いている。

感情で動いたら負けだと思った。

数分後、妻が店員さんと一緒に戻ってきた。

店員さんは普通の声で、

「お客様、こちらの商品を確認させていただきますね」

と言いながら、自然に俺たちと男の間に入ってくれた。

その瞬間、男の顔が少し歪んだ。

そして小さな声で言った。

「見てただけだろ」

俺はそこで初めて、男の方を見た。

ただし、近づかなかった。

息子を抱いたまま、はっきり言った。

「見てただけの人は、売り場を変えても同じ距離でついて来ません」

男は何か言い返そうとしたけれど、店員さんがすぐに前へ出た。

「他のお客様が不安に感じています。

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これ以上近づく行為はお控えください」

その言い方が、すごく冷静だった。

男はしばらく黙っていたが、舌打ちみたいな音を出して、出口の方へ歩いていった。

でも、俺はその場で安心しなかった。

店員さんにお願いして、会計まで一緒にいてもらった。

駐車場に出る時も、別のスタッフさんが途中まで見送ってくれた。

車に乗って、ドアを閉めた瞬間、息子が俺の顔を見て笑った。

その顔を見たら、やっと力が抜けた。

妻が小さく言った。

「目、合わせなかったのすごいね」

俺は首を振った。

強かったわけじゃない。

怖かった。

でも、父親になって分かった。

本当に守りたいものを抱いている時ほど、怒鳴るより、冷静に動く方が大事な時がある。

あの時、何も起きなかった。

でも、何も起きなかったのは、何もしなかったからじゃない。

目を合わせず、距離を取り、店員さんを呼び、息子を内側に抱き直したからだ。

大げさだと思う人もいるかもしれない。

でも、親はそれでいいと思う。

小さな違和感を見逃してから後悔するより、少し大げさに守るくらいでちょうどいい。

息子を抱いて歩く時、俺はこれからも周りを見る。

何もなければ、それでいい。

それが一番いい。

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