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「お母さんの分、残しておいたよ」見た瞬間ちょっと切なくなったサーモン巻き
2026/04/30

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「ママの分、ちゃんと残しておいたよ」

夕飯の片付けをしながら、子どもにそう言われた。

今日は家でサーモン巻きを作った。
といっても、そんな立派なものじゃない。
ご飯を広げて、海苔を置いて、大葉とサーモンをのせて、なんとか巻いただけ。

きれいな丸にはならなかったし、切る時も少し崩れた。
でも家で食べる分には十分。

子どもたちは「おいしい!」と言いながら、できた順にどんどん食べていた。

私はその間、味噌汁をよそったり、まな板を洗ったり、使った皿を下げたりしていた。
母親あるあるだけど、自分が座るころにはだいたい食卓が少し落ち着いている。

で、やっと自分の分を食べようと思って皿を見たら。

残っていたのは、端っこだった。

しかも両方とも、切り口がちょっと不格好。

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ご飯は少しはみ出しているし、サーモンも横からぺろんと出ている。

思わず口から出た。

「お母さん悲しいわ。端っこしか食べられなくて」

すると子どもが、まったく悪びれない顔で言った。

「え?そこ、おいしいところだよ」

いやいや。
普通、巻き寿司って真ん中のきれいなところが当たりじゃないの?

そう思いながら箸で持ち上げたら、気づいた。

端っこ、サーモンが多い。

真ん中のきれいな部分より、明らかに魚がはみ出している。
見た目は雑なのに、具の量だけ見たらかなり強い。

もう一つの端っこも同じ。
ご飯よりサーモンの存在感がすごい。

私はさっきまで「残り物を回された母」みたいな顔をしていたのに、実際は一番ぜいたくな部分を持っていた。

子どもが得意げに言った。

「だってママ、サーモン好きでしょ。だから大きいところ残した」

そこで完全に黙った。

見た目だけで勝手にしょんぼりしていた自分が、急に恥ずかしくなった。

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夫も横から笑って、
「それ、作った人だけがわかる当たり部分だよ」
と言ってきた。

たしかに、家で作る巻き物の端っこって、店の端っことは違う。
形は悪い。

写真映えもしない。
でも具は遠慮なく飛び出している。

むしろ、いちばん家庭っぽくて、いちばんおいしい場所かもしれない。

私はさっきの一言を取り消すように、端っこを一口で食べた。

悔しいけど、おいしかった。
かなりおいしかった。

サーモンの量が多いから、口の中がちゃんと幸せになる。
大葉も効いていて、雑に見えた部分が急にごちそうに変わった。

子どもがそれを見て、
「ほらね」
みたいな顔をしていたのがまた悔しい。

結局、私は残りの端っこもきれいに食べた。

「悲しいわ」と言った母が、最後は誰よりも満足していた。

見た目だけで判断してはいけない。
これは人にも料理にも言える。

そして家庭の巻き寿司において、端っこは決して敗者の場所ではない。

むしろ、サーモン好きにとっては当たり席だった。

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