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「電車に自転車は非常識だろ!」おばあちゃんに怒鳴る男→床の表示を見た瞬間…
2026/04/12

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その日、乗った電車は地方のローカル線だった。

昼間の時間帯で、車内はそれほど混んでいない。数人の乗客が静かに座り、スマホを見たり、ぼんやり窓の外を眺めたりしている。都会の通勤電車のような慌ただしさはなく、どこかゆったりした空気が流れていた。

私は空いている席に座り、電車の揺れに身を任せていた。

次の駅でドアが開いた瞬間だった。

車内に入ってきた光景を見て、思わず目を疑った。

おばあちゃんが、自転車ごと電車に乗り込んできたのだ。

しかも折りたたみ自転車ではない。前かごの付いた、いわゆる普通の買い物用の自転車。

おばあちゃんは特に慌てる様子もなく、ゆっくりと自転車を押して車内に入り、ドア付近のスペースに止めた。そしてそのまま近くの座席に座る。

その動きはあまりにも自然だった。

だが私は思わず周囲を見回した。

「え……?電車に自転車?」

都会で生活していた私の感覚では、まずあり得ない光景だった。普通は自転車を電車に持ち込む場合、輪行袋に入れるか折りたたむ必要がある。

そのまま車内に持ち込むなど、駅員に注意されてもおかしくない。

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しかし不思議なことに、車内の乗客は誰も驚いた様子がない。

隣の若い男性はスマホを見たままだし、向かいの席の中年男性は新聞を読み続けている。

まるで、これが当たり前の風景であるかのようだった。

その時だった。

車内の後ろの方から、少し強い口調の声が聞こえた。

「ちょっと、それダメじゃないの?」

声の主はスーツ姿の男性だった。どうやら都会から来た人らしく、明らかに不満そうな顔をしている。

「電車に自転車って、普通ダメですよね?」

車内の空気が一瞬だけ変わった。

おばあちゃんは少し驚いた顔をしたが、何も言わずに座ったままだった。

すると近くに立っていた男性が、落ち着いた声で言った。

「ここは大丈夫ですよ。」

スーツの男性は眉をひそめた。

「え?」

その男性は床を指さした。

「この路線、サイクルトレインなんです。」

スーツの男性は一瞬言葉を失ったようだった。

「サイクルトレイン?」

近くの乗客が少し笑いながら説明した。

「この辺の電車は、自転車そのまま乗せていい時間帯があるんですよ。」

「折りたたまなくても?」

「はい、そのままで大丈夫です。

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車内に小さな笑いが広がった。

スーツの男性は少し恥ずかしそうに頭をかいた。

「そうなんですか……」

そして小さく言った。

「知らなかった……」

その様子を見て、おばあちゃんが初めて口を開いた。

「ここはねぇ、みんなこうして乗るんよ。」

優しい口調だった。

「買い物行くときも便利だからねぇ。」

車内の空気がふっと緩んだ。

その時、次の駅でドアが開いた。

今度は若い男性がロードバイクを押して乗ってきた。

彼もまた、何の迷いもなく自転車を車内に入れる。

気がつけば、車内には二台の自転車が並んでいた。

それでも誰も文句を言わない。

むしろ自然な光景だった。

スーツの男性は苦笑しながら言った。

「都会じゃ絶対怒られますね。」

すると近くの乗客が笑って答えた。

「ここじゃ普通ですよ。」

電車はゆっくりと次の駅へ向かって走っていく。

おばあちゃんは降りる準備をしながら、自転車のハンドルを握った。

ドアが開くと、そのまま自転車を押してホームへ降りていく。

とても自然な動きだった。

まるで、それが当たり前の毎日であるかのように。

電車が再び走り出す。

私は窓の外を見ながら思った。

都会では「非常識」に見えることでも、この町ではごく普通の風景なのかもしれない。

そしてその違いこそが、

このローカル線の面白さなのだろう。

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