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「未払い・残置物・夜逃げの3点セット」勝手に帰国した元入居者が“戻ったらまた貸して”と手紙を送ってきたので、再契約ではなく清算書面を用意した話
2026/06/29

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朝、管理会社の事務所で郵便物を整理していた時だった。

一通の封筒が目に入った。

差出人の名前には見覚えがある。

以前、うちの管理物件に住んでいた入居者だった。

正直、その名前を見た瞬間、嫌な予感しかしなかった。

家賃未払い。

室内の残置物。

連絡不能。

そして、突然の退去。

いわゆる夜逃げに近い形で、部屋からいなくなった人だ。

当時は本当に大変だった。

電話はつながらない。

メールにも返事がない。

部屋には荷物が残っている。

冷蔵庫の中身もそのまま。

郵便物も積まれている。

家賃は止まっている。

こちらとしては、安否確認なのか、退去処理なのか、滞納対応なのか、全部同時に進めなければならなかった。

不動産管理という仕事は、鍵を預かって家賃を確認するだけではない。

人が突然消えた時、その後始末まで全部こちらに来る。

大家さんへの説明。

保証会社との連絡。

残置物の扱い。

部屋の確認。

次の募集をどうするか。

その一つ一つに時間も手間もかかる。

それなのに本人は不在。

まるで台風だけ置いて、本人だけ晴れた国へ帰ったようなものだった。

封筒を開けると、中には手紙と鍵が入っていた。

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手紙は丁寧な文体だった。

「ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」

そこまでは、まだ分かる。

続きには、ビザの事情によりネパールへ帰国したこと。

現在は賃貸していた部屋に住んでいないこと。

部屋は他の人に貸して構わないこと。

鍵は友人に預けていたので、その友人が転送したこと。

そんな内容が書かれていた。

私は読みながら、思わず深く息を吐いた。

いや、今?

今それを言う?

住んでいないことは、こちらも知っています。

むしろ、知りたくない形で知りました。

鍵を返すのも大事だ。

それは分かる。

でも、鍵だけ返せば全部終わるわけではない。

未払い家賃。

残置物。

原状回復。

契約上の責任。

そこはどこへ行ったのか。

読み進めると、さらに目が止まった。

「今後、再びビザを取得して日本へ戻ることができましたら、未払いの費用を清算いたしましたら、可能であれば再度貴社のお部屋をお借りしたいと考えております」

私は数秒、紙を見つめた。

そして小さく声が出た。

「いや、メンタル強すぎんか」

未払いもある。

荷物も残した。

連絡も途切れた。

その後始末をこちらに背負わせた。

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それで、戻ってきたらまた貸してほしい。

順番が独特すぎる。

まず謝罪。

次に清算。

そこまではいい。

でも、その流れで「また借りたい」は、なかなかの急カーブだった。

高速道路で突然Uターンするくらい危ない。

私は椅子に座り直し、もう一度手紙を読んだ。

文章だけ見れば丁寧だ。

言葉遣いも乱暴ではない。

しかし、丁寧な言葉で包めば何でも許されるわけではない。

「ご理解とご配慮を賜りますよう」

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