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東大卒の夫が、スーパーで毎回だまされる理由
2026/06/02

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夫は東大卒だ。

学生時代から成績優秀。

今でも新聞を読めば経済を語り、ニュースを見れば国際情勢を解説する。

正直、私は半分も理解できない。

だから夫は時々こう言う。

「君とは学術的な話ができないな」

もちろん悪気はない。

でも私はそのたびに心の中で思う。

――この人、スーパーに行ったら毎回負けるのに。

ある休日、夫と買い物に出かけた。

歯ブラシ売り場で夫が立ち止まる。

「そろそろ交換しよう」

私は一本だけカゴに入れた。

すると夫が隣の商品を手に取った。

「こっちにしよう」

「二本買うとお得って書いてあるぞ」

自信満々だった。

私は値札を見て思わず吹き出した。

「本当にお得?」

夫は首を傾げる。

私は値札を指差した。

一本321円。

二本セットは1166円。

夫の目が大きくなった。

「えっ?」

「ちょっと待て」

スマホの電卓を出して計算し始める。

私は笑いをこらえながら見ていた。

数秒後。

夫は静かに言った。

「二本買う方が高いじゃないか……」

私は頷いた。

「まとめ買い=お得じゃないの」

「単価を見るのが先」

夫は少し悔しそうだった。

だが本当の授業はここからだった。

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次に牛乳売り場へ向かう。

夫は一番手前の牛乳を手に取った。

「賞味期限が長いのを選ばないとな」

私は奥から一本取り出した。

夫が不思議そうな顔をする。

「賞味期限を見ないの?」

「見なくても分かるよ」

「補充するときは奥から並べるでしょ?」

「だから新しい牛乳はだいたい奥にある」

夫はしばらく牛乳棚を見つめていた。

そして一言。

「なるほど……」

さらに卵売り場。

夫は真っ先に一番安い商品を手に取った。

私は別の商品を選ぶ。

「なんで?」

と聞かれたので答えた。

「安い商品が悪いわけじゃないよ」

「でも売れてる商品は回転が速い」

「回転が速い商品ほど鮮度も安定する」

夫はまた黙った。

最後はパン売り場だった。

夫は値引きシールの貼られたパンを嬉しそうに持ってきた。

「これはお得だろ?」

私は賞味期限を見た。

そして首を横に振る。

「今日中に食べるならね」

「でも明日の朝用なら別の商品の方がいい」

「食べ切れずに捨てたら、安く買っても意味がないでしょ」

夫は完全に言い返せなくなっていた。

帰宅後。

買い物袋を片付けながら夫がぽつりと言った。

「俺、東大出てるんだよな……」

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私は笑った。

「知ってるよ」

夫は苦笑いしながら続けた。

「でも今日だけで何回負けた?」

「スーパーのこと、全然分かってなかった」

私は肩をすくめた。

「毎日やってるからね」

すると夫は急に真面目な顔になった。

「正直、家庭のことって誰でもできると思ってた」

「でも違うな」

「限られた予算で買い物して、鮮度を見て、無駄を減らして、家族の食事を考える」

「これって立派な仕事だ」

私は少し照れくさくなった。

すると夫は笑いながら言った。

「学術的な話では勝てるかもしれない」

「でも生活力では完全敗北だ」

そして最後にこう言った。

「家庭主婦も立派な職業だよ」

「うちの家計を支えてるのは君だ」

「君が一番優秀なリーダーかもしれないな」

その日以来。

夫はスーパーで何かをカゴに入れる前に、

必ず私を見るようになった。

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