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「2歳の娘が保育園で言った一言」“ママお仕事だから泣かないの”連絡帳を読んだ瞬間、預ける母親を責めた人たちに言い返す決心をした
2026/06/04

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朝、玄関で靴を履かせる時点で、もう嫌な予感はしていた。

二歳の娘は、私の服の裾をぎゅっと握っていた。

「ママ、いっしょ?」

小さな声だった。

その一言だけで、胸の奥がきゅっと縮む。

でも、時計は容赦ない。

仕事は待ってくれない。

洗濯物も、保育園の支度も、駅までの時間も、全部が私を急かしてくる。

私はできるだけ明るい声を作った。

「夕方、迎えに来るよ。おうち帰ったらいっぱいお話しようね」

娘はうなずいた。

でも、目にはもう涙がたまっていた。

保育園の玄関に着くと、娘の手の力がさらに強くなった。

先生が優しくしゃがみ込む。

「おはよう。今日も遊ぼうね」

その瞬間、娘は私の足にしがみついた。

「ママがいい!」

廊下に響く泣き声。

他の子たちは次々と部屋へ入っていく。

私は笑顔を作ったまま、先生に娘を預けた。

けれど、引き離すような形になった。

その感触が、仕事中もずっと手に残った。

パソコンの画面を見ていても、娘の泣き顔がちらつく。

会議中も、ふと考えてしまう。

今も泣いているのかな。

ちゃんとご飯を食べただろうか。

私のことを、置いていったと思っていないだろうか。

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仕事だから仕方ない。

そう何度も自分に言い聞かせた。

でも、仕方ないで片付くほど、母親の心は便利にできていない。

夕方、迎えに行くと、娘は先生のそばでブロックを持っていた。

私を見つけた瞬間、顔がぱっと変わった。

「ママ!」

走ってきて、私の膝に飛びつく。

その重さに、今日一日分の緊張が少しだけほどけた。

先生が連絡帳を渡してくれた。

「今日、すごく頑張っていましたよ」

その言い方が、少しだけやわらかかった。

家に帰ってから、私は娘を先に座らせ、荷物を片づけた。

そして、何気なく連絡帳を開いた。

いつものように、排便の状態、食事、遊びの様子。

その欄に、先生の手書きの文字が並んでいた。

「今日も涙が止まらない様子だった〇〇ちゃん」

私はそこで手を止めた。

やっぱり泣いていたんだ。

胸が痛くなった。

でも、続きの文章を読んだ瞬間、息が止まった。

「ママ、おうち帰ったらしゃべくる?」

私は思わず声に出して読んだ。

しゃべくる。

娘はまだ「しゃべる」をうまく言えない。

お話しすることを、いつも「しゃべくる」と言う。

朝、私が言った言葉を覚えていたのだ。

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おうちに帰ったら、いっぱいお話しようね。

たったそれだけの約束を、二歳の娘は一日中握りしめていた。

さらに、先生の文字は続いていた。

「すなあそびあるんで、ごはんたべたらしゃべくる、と自分に言い聞かせて頑張っていました」

私は連絡帳を持ったまま、動けなくなった。

二歳だ。

まだ靴下だって片方裏返しに履く。

スプーンだって落とす。

眠いと床に寝転ぶ。

そんな小さな子が、泣きながら自分に言い聞かせていた。

砂遊びをしたら。

ごはんを食べたら。

そしたら、ママとしゃべくる。

順番を作って、寂しさを耐えていた。

私は台所で泣きそうになった。

いや、ほぼ泣いた。

娘は横で、何も知らない顔をしてお茶を飲んでいた。

口のまわりに水をつけたまま、私を見て言う。

「ママ、しゃべくる?」

その一言で、完全に負けた。

私は娘を抱きしめた。

「うん。しゃべくる。いっぱいしゃべくる」

娘は満足そうに笑った。

その笑顔が、また痛かった。

先生の連絡帳には、最後にこうも書かれていた。

遊んでいる時には泣きやみ、「もう一回しゅる」と話していた、と。

泣いて、我慢して、少し遊んで、また頑張って。

二歳なりに、ちゃんと一日を戦っていた。

私は仕事で疲れた顔をして帰ってきたつもりだった。

でも本当に戦っていたのは、娘のほうだったのかもしれない。

大人はすぐに言う。

「子どもはすぐ慣れる」

「泣くのも最初だけ」

「保育園に行けば成長する」

たしかにそうだ。

でも、その成長の途中には、こんな小さな我慢がある。

こんな小さな独り言がある。

こんな健気すぎる約束がある。

その夜、私は家事を少しだけ後回しにした。

洗濯物は山のまま。

食器も流しに置いたまま。

でも、娘と並んで座った。

「今日、何して遊んだの?」

娘は得意げに言った。

「すな。もういっかい、しゅる」

私は笑いながらうなずいた。

この子は今日、ちゃんと頑張った。

そして私は、朝の約束を守らなければいけない。

二歳児の「しゃべくる」は、思ったより重い。

大人の予定より、ずっと大事だった。

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