あれは、荷物が届いた日のことだった。
いつものように、家で受け取りをした。
代引きだったので、私は配達員に言われた金額をそのまま支払った。
特にその場では疑いもしなかった。
代引きというのは、そういうものだと思っていたからだ。
伝票に書かれている金額を払って、荷物を受け取る。
ただそれだけ。
私も、まさかそこで妙なことが起きているとは思っていなかった。
ところが、そのあとだった。
発送元の控えを確認する機会があって、私はふと違和感を覚えた。
金額が違う。
一瞬、見間違いかと思った。
でも、何度見てもおかしい。
発送元の伝票に書かれている代引き金額と、うちに来た伝票に書かれている金額が一致していないのだ。
私は両方を並べて見比べた。
すると、違和感はすぐに確信に変わった。
数字の「6」が「8」に書き換えられていた。
あまりにもわかりやすかった。
自然に訂正された感じではない。
誰が見ても、
「ああ、ここ直してるな」
とわかるような書き方だった。
雑というか、露骨というか。
むしろ、よくこれで通ると思ったなというレベルだった。
つまり、本来より多い金額を私は払わされていたことになる。
その瞬間、頭の中がすっと冷えた。
最初は呆れた。
次に、普通に怖くなった。
だって、これが本当に意図的なものだったら、やっていることはかなり悪質だからだ。
ただのミスで済ませていい話ではない。
しかも代引きだ。
客はその場で支払うしかない。
言われた金額を信じるしかない。
その仕組みを利用して、差額を抜いていたのだとしたら、どう考えてもまともではない。
私はすぐに問い合わせをした。
何が起きたのか説明してほしい、と。
発送元の伝票と、こちらに来た伝票では金額が違うこと。
数字の書き換えが見てわかること。
そして、その結果として私は余計にお金を払っていること。
順番に、冷静に伝えた。
当然、何かしらの説明があると思っていた。
たとえば、どの段階で訂正が入ったのか。
誰が記入したのか。
なぜこうなったのか。
少なくとも、そのくらいは明らかにされるべきだと思った。
ところが、返ってきたのは拍子抜けするような対応だった。
返金はする。
でも、説明はない。
事の真相についても、はっきりしたことは言わない。
誰がやったのかも不明のまま。
結果として、私は差額分だけ戻された。
それで終わり、という空気だった。
正直、耳を疑った。
いや、返金は当然である。
間違って多く取ったのなら返すのは当たり前だ。
問題はそこではない。
なぜ金額が変わっていたのか。
なぜ「6」が「8」になっていたのか。
そこが一番大事なのに、肝心の説明がない。
しかも、悪いことをした人間についても、お咎めなしのように見える。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください