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「お前のバイク、そんなにスペースいらないだろ?」と言われた瞬間、俺は何も言わず数センチまで詰めて横付けし、あいつの車を出られなくした話
2026/02/12

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「お前のバイク、そんなにスペースいらないだろ?」

月極の契約区画に他人の車が止まっているのを見た瞬間、その声が背後から飛んできた。

俺は振り返らない。
まず自分の番号を確認する。区画番号、契約書の写真、全部スマホに残してある。

俺の場所だ。

なのに、軽自動車がど真ん中に鎮座している。
俺のバイクは端に押しやられ、スタンドがぎりぎり。少しでも傾けば倒れる位置だ。

「空いてんだからいいだろ。資源の無駄って言ってんの」

振り向いた。
隣の区画の男。ニヤついている。

俺は一歩近づいた。

「ここ、俺の契約だ」

それだけ言った。

「は? たかがバイクで一枠とかケチくさ。毎日止めてねぇじゃん」

口が軽い。
謝る気もない。

俺はそれ以上言わなかった。

バイクを引き出し、ゆっくり方向転換する。

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そして——

軽のフロントに対して、斜めに横付け。
前輪をぴたりとバンパーに寄せる。

ハンドルロック。

鍵を抜く。

男が叫ぶ。

「おい、何してんだよ!」

俺は振り向く。

「俺の区画だ」

それだけ。

部屋に戻った。

翌朝、七時二十分。

インターホンが鳴り止まない。

ドアを開けると、顔色の変わった男が立っていた。

「ちょ、どかしてくれ! 今日重要な会議なんだよ!」

ネクタイが曲がっている。
汗が額に浮いている。

俺は壁にもたれたまま言う。

「俺の区画だ」

「だから昨日のは悪かったって! でも遅刻すんだよ!」

「止めたのは誰だ」

短く、刺す。

男の口が止まる。

「……空いてたから」

「空いてねぇ。契約だ」

沈黙。

下でエンジンをかけようとしても、俺のバイクが完全に前を塞いでいる。
押しても動かない。ロック済みだ。

「頼むって。会議、マジでやばいんだ」

「二度と止めないなら」

間を置く。

「言え」

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男は唇を噛む。

周囲の住人がカーテンの隙間から見ているのがわかる。
月極は狭い。視線は逃げない。

男は視線を落とした。

「……もう停めません」

俺はじっと見た。

「聞こえない」

「もう停めません!」

はっきり言わせた。

俺はゆっくり階段を降り、バイクのロックを外す。

エンジンをかけ、数秒そのまま待つ。

男は車に飛び乗り、バックする。

窓を開け、こちらを見た。

「……すまん」

俺は頷きもしない。

「契約、なめるな」

それだけ言った。

それ以来、俺の区画に他人の車は一度も入っていない。

あいつは俺と目が合うと逸らす。

資源の無駄?
空いてるから?

違う。

空いて見えるだけで、権利は消えない。

使わない自由も、俺のものだ。

そして何より——

俺の場所だ。

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