ある日、私はタクシーに乗ってコインランドリーに向かった。洗濯物をしている間に少し時間がかかると思い、運転手に「少し待っていてください」とお願いした。運転手も快く「わかりました」と答えて、私は安心して降りた。
しかし、洗濯を終えて外に出たとき、驚くべき光景が広がっていた。目の前にはタクシーがどこにも見当たらない。その瞬間、私は自分がどうしようもなく困ったことに気づいた。車内に置いてきた大事な荷物、どうしよう?
「こんなこと、まさか!」と思いながらも、冷静に考えてみたが、結局、私が運転手の名前やタクシー会社名、ナンバープレートすら覚えていなかったことに気づく。焦りと恐怖で胸が締めつけられた。
「どうしよう…」と自問自答しながら、私はすぐに携帯電話を取り出し、タクシー会社に電話をかけようとした。しかし、いくら電話をかけても繋がらない。無力感に包まれ、次第に不安が募る。
そこで、私はどうすれば良いのか迷いながらも、必死に周りを見渡し、車の会社名を探した。しかし、当然のことながら、ナンバープレートにも、会社名にも、何も覚えていなかった。
完全に打つ手がなかった。
その時、ちょうど近くにいた通行人が私の困惑を見かねて声をかけてきた。
「大丈夫ですか?なんか困ってるように見えますけど。」
私は状況を説明し、無理やり冷静を保ちながら、「タクシー運転手が荷物を置き去りにしていなくなったんです」と話すと、通行人はすぐにアドバイスをくれた。
「それはもう、警察に言ったほうがいいよ。窃盗の可能性もあるから、警察が動いてくれるはず。」
その瞬間、私は自分の判断を少し疑い始めた。確かに、運転手が私の荷物を無断で持ち去っているとしたら、それは窃盗であり、何も手を打たないわけにはいかない。
「でも、何か手がかりがないと…」と私は思いつつ、思い切って警察に通報することにした。
数時間後、私は警察署に向かっていた。心の中では、タクシー運転手が本当に物を盗んだのか、それともただの手違いなのか、わからなかったが、警察に訴えてみることで、少なくとも物事が進展するだろうと思った。
「もし盗まれていたら、どうしよう…」と心配しながら警察に足を運ぶ途中、突然私の携帯が鳴った。
「もしもし、タクシー会社です。お客様、荷物が見つかりました。」
「えっ、見つかった?」驚きのあまり、私はすぐに電話を取った。タクシー会社からの返答が思いがけないもので、私は耳を疑った。
「実は、車両の位置をGPSで確認したところ、荷物が車内に残されていました。運転手は急用で離れなければならなかったため、お客様にお知らせする前に出発してしまいました。」
「なんだって?」私は呆然とした。運転手が急な仕事で行かなければならなかったのは本当だった。しかし、物が無事だったことを聞いて、私は胸を撫で下ろした。
その後、警察にも確認が取れ、タクシー運転手は、途中で自分の車を停めて荷物をしっかりと車内に残していたという。さらに驚くべきことに、運転手は私がコインランドリーから戻るまで、その場にいなかったが、荷物が盗まれないように心配していたとのこと。
「本当に大丈夫ですか?」運転手が改めて電話で話してきた。「あなたの荷物は車内に残したままで、決して盗んだわけではありません。すぐに戻ってもらえれば、すぐお渡しします。」
それを聞いて、私はすっかり安心した。どうやら、私が最初に感じた不安は、誤解に基づいていたのだ。
結局、私は無事に荷物を受け取り、タクシー運転手と顔を合わせて感謝の言葉を伝えた。運転手は、突然の仕事のために誤解を招いたことを謝罪し、私もその誠実さに感謝した。
「まさか、こんなに大騒ぎになるとは思わなかったよ。」と心から安心した私は、運転手に微笑みながら言った。