正直に言います。
私は性格がいい。
少なくとも、その日はそうだった。
スーパーのセルフレジで並んでいた時のこと。
夕方で、人も多くて、みんなちょっと疲れてる時間帯。
私は前の人が操作に少し手間取っているのを見て、
「まあ急いでないし、こんなもんでしょ」とぼんやり考えていた。
その時、後ろから突然、吠えるような声が飛んできた。
「早くしろよ!!急いでんだ俺は💢」
……出た。
空気を読まないとか、短気とか、そういうレベルじゃない。
完全に“俺の都合が世界の中心”タイプ。
セルフレジの列が、一瞬で凍りついた。
前の人の肩がピクッと揺れたのも、ちゃんと見えた。
でも誰も言わない。
言えない。
まあ、分かる。
こういう人に絡むと、面倒くさいのはこっちだから。
私は一瞬だけ迷った。
見なかったことにするか、聞こえなかったことにするか。
……でもその瞬間、ふと思った。
あ、今日の私は、性格がいいなって。
だから、にこっと笑って振り返った。
「あの……私、全然急いでないので……
よかったら、先どうぞ☺️
ちょっと買い忘れもあるし🙄」
我ながら、完璧なトーンだったと思う。
柔らかい。
親切。
非の打ち所がない。
周りの空気が、ざわっと動いたのが分かった。
老害様――失礼、急いでいらっしゃるお方は、
一瞬きょとんとして、それから急に態度を変えた。
「お、姉ちゃん、いいんか?
悪いな!」
……ほら来た。
さっきまで吠えてた人が、
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