「受験でストレス溜まってるんです!タバコくらい吸うでしょ!?」
電話に出た瞬間、耳に飛び込んできた怒鳴り声。謝罪どころか、第一声がこれだった。
ああ、当たりだ。
3人いれば1人はいると思っていた“外れ親”。
私はマンション前でタバコを吸っていた中学生3人を注意しただけだ。すると、そのうちの1人がニヤつきながら、わざと顔に向かって煙を吹きかけてきた。
目に直撃。涙が止まらず、そのまま眼科へ。診断は炎症。診断書も出ている。
その事実を伝える前に、母親は一方的にまくし立てる。
「受験生なんですよ!?どれだけプレッシャーあると思ってるんですか!?」
「大人がいちいち目くじら立てるから子供が追い詰められるんです!」
面白い。
違法喫煙を「努力の副作用」みたいに言う親、初めて見た。
私は何も言わない。
ただ、喋らせる。
「うちの子は悪い子じゃない!」
「ストレス溜まってるんだから仕方ないでしょ!」
「そのくらい大目に見てあげられないんですか!?」
全部、向こうから差し出してくる。
十分だ。
母親の声が最高潮に達した瞬間、私は口を開いた。
「今の話、全部録音してますけど、大丈夫ですか?」
電話口が、凍った。
さっきまでの勢いが嘘みたいに消える。呼吸の音だけが聞こえる。
ここからは私のターン。
感情ゼロの声で淡々と伝える。
「まず、3人とも当マンションの住人ではありませんでしたよね。」
「以前あったエレベーターボタン全押し事件の時点で、敷地内侵入になります。
」
「今回は煙を顔に吹きかけられて眼科受診、診断書取得済みです。」
「管理会社と警察に相談し、被害届を出しますね。」
一瞬の沈黙のあと、声色が変わる。
「…すみませんでした」
「子供にちゃんと注意します」
「本当に申し訳ありませんでした」
さっきの威勢はどこへ行ったのか。
私は一言だけ返す。
「謝罪は受けます。でも、手続きは進めますので。」
感情の問題と、法律の問題は別だ。
電話を切ったあとも腹の虫は収まらない。だが、怒鳴らない。騒がない。やることは一つ。
記録を持って、警察へ行く。
目の炎症は診断書。
会話は録音。
掲示板には管理人が貼った注意文と日付。
親は「タバコくらい」と言った。
その一言で、ただの注意が事件になった。
翌日、警察で被害届を提出。学校からも連絡が入り、謝罪の場が設けられることになった。
でも、これはもう“気持ちの話”じゃない。
社会のルールに預けるだけだ。
騒いだ親ほど、自分の言葉で詰む。
私は何もしていない。
ただ、感情を使わなかっただけ。
それだけで、勝負は決まっていた。
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