熱が38度を超えた朝、私は会社に電話した。
「コロナ陽性でした。医師から5日間の自宅療養指示が出ています」
声はガラガラ、頭はボーッとして、立っているのもしんどい。
それでも社会人として、ちゃんと報告した。
返ってきたのは、人事の冷たい一言。
「じゃあ有給処理になりますね」
……は?
一瞬、意味が分からなかった。
「え?感染症ですよ?私が好きで休んでるわけじゃないんですけど」
そう言うと、ため息混じりの声。
「病欠は有給って規則なので。皆そうしてます」
皆って誰。
規則って何。
こっちは高熱で震えてるんですけど。
その日の夕方、有給残日数をアプリで確認して、言葉を失った。
5日間。
丸ごと消えてた。
今年のためにコツコツ残してた貴重な有給。
子どもの行事のため。
自分のリフレッシュのため。
やっと取れるはずだった小さな旅行のため。
全部、コロナで蒸発。
布団の中で天井を見ながら、涙が出た。
体がつらいのもある。
でもそれ以上に、
「病気になった人間が損をする」
この仕組みが、どうしようもなく理不尽だった。
しかも私は陽性証明書も提出している。
医師の診断書もある。
それでも「病欠=有給」。
じゃあ聞きたい。
何のための有給?
旅行に使えない。
休養にも使えない。
病気で勝手に消える。
これ、休暇じゃなくて罰じゃない?
最初は我慢した。
「仕方ないか」
「小さい会社だし」
「揉めるのも面倒」
そうやって、自分に言い聞かせた。
でも、療養中ずっとモヤモヤが消えなかった。
熱が下がった頃、私はスマホで調べ始めた。
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