上河内SAで、私は“人間としての限界”を見せた。
双子の妹(重度知的障害)が寝起きの癇癪で泣き叫び、兄(中度)も「パパ取られた!」と泣き出し、フードコートの空気が一瞬で凍った。抱きしめた腕が震える。視線が刺さる。――その時、ひとりの男が私に向かって走ってきた。
「……すみません、すみません……」
気づけば、私はそれしか言えていなかった。
ここは上河内サービスエリア。昼どきで満席。人の話し声と食器の音が重なり合う中、うちの双子だけが“別の世界”みたいに崩れていた。
妹は重度の知的障害がある。
寝起きでスイッチが入ると、理由なんて本人にも説明できない。本人にとっては“恐怖”や“拒否”がそのまま爆発する。今日は「外に出なきゃいけない」「座れない」という状況が直撃した。
「いやぁぁぁぁ!!」
妹の声が天井に跳ね返る。
その声に、兄が反応した。
兄は中度。妹が泣くと家の中でも落ち着かない。今日はさらに、妹を抱っこするパパに自分が近づけないのが許せなかった。
「パパ!!」
「こっち!こっち!!」
泣きながら、兄が私の服を引っ張る。
私は妹を抱え、兄の手を取り、家族4人の体がいっぺんにバラバラになりそうで、必死にまとめようとした。
でも、私の必死さなんて、周りには関係ない。
「……うるさいな」
背後で、はっきり聞こえた。
小さくじゃない。“普通の声”で。
「ここ、休憩するとこなんだけど」
「親、何してんの?」
「静かにさせられないなら外出てよ」
刺さった。
言い返せない。言い返す余裕もない。
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