ゴールデンウィーク中、街を歩いていると、閉まった店のシャッターに一枚の張り紙が貼られていた。
緑色のテープで四隅を留められた、何の変哲もない白い紙。
最初はよくある休業案内だと思った。
「連休のため休業します」
「店主体調不良のため休みます」
「都合によりお休みします」
そんな内容を想像しながら近づいて読んでみると、そこにはこう書かれていた。
「みんながゴールデンウィークを休むのはズルいので、本日より休みます。」
思わず、二度見した。
あまりにも正直すぎる。
理由としてはかなり雑だ。
でも、不思議と嫌な感じはしない。
むしろ、「そりゃそうだよな」と笑ってしまう。
ゴールデンウィークになると、多くの人が旅行に行ったり、実家に帰ったり、友人と出かけたりする。
駅は混み、観光地はにぎわい、SNSには楽しそうな写真が並ぶ。
でも、その一方で、店を開けている人たちもいる。
飲食店、コンビニ、スーパー、観光地の土産店、交通機関、配送、清掃、警備。
誰かが休んでいる時に、誰かが働いている。
もちろん、それが仕事だと言えばそれまでだ。
けれど、店先でこの張り紙を見ると、普段あまり表に出ない働く側の気持ちが、ゆるく、でもしっかり伝わってくる。
「みんな休んでるのに、うちだけ開けてるの、ちょっとズルくない?」
そんな店主の声が聞こえてくるようだった。
普通なら、店が休む時はもっとそれらしい理由を書く。
「誠に勝手ながら」
「都合により」
「臨時休業いたします」
そう書けば無難だし、誰にも突っ込まれない。
でも、この店は違った。
変にかしこまることもなく、きれいな言葉でごまかすこともなく、ただ本音をそのまま貼ってしまった。
そのゆるさが、逆にいい。
もし自分がこの店の常連だったら、シャッターの前で少し笑ってしまうと思う。
そしてたぶん、こう思う。
「まあ、休んでいいよ」
店を開けていてくれたら便利だ。
いつも通り買い物ができたら助かる。
でも、店にも休む理由がある。
しかも今回の理由は、「みんなが休むのはズルいから」。
子どもみたいな言い方なのに、妙に説得力がある。
働く人なら、一度くらい同じようなことを思ったことがあるのではないだろうか。
連休前、周りが「どこ行くの?」「何連休?」と話している中で、自分だけシフト表を見ている時。
観光客で混んだ店内を走り回りながら、「この人たちは休みなんだよな」と思う時。
家族連れや友人同士の楽しそうな声を聞きながら、レジに立っている時。
別に誰かを責めたいわけではない。
ただ、少しだけ思う。
「自分も休みたい」
この張り紙は、その気持ちをものすごく短く、ものすごく正直に言っているだけなのかもしれない。
もちろん、店によって事情はある。
休みたくても休めない店もある。
連休こそ売り上げの勝負という店もある。
従業員の都合や仕入れの関係で、簡単には閉められないところもある。
だからこそ、この張り紙には少しだけ自由さを感じる。
「うちは休みます」
「理由は、みんなが休むのがズルいからです」
それでいい。
完璧な接客も、立派な説明も、いつでも営業してくれる便利さも、もちろんありがたい。
でも、店をやっている人も人間だ。
連休に休みたい日くらいある。
それをこうして堂々と書いてしまうところに、なんだか店主の人柄まで見える気がする。
もしかすると、普段から少しユーモアのある店なのかもしれない。
常連客も、この張り紙を見て怒るどころか、笑いながら帰っていくのかもしれない。
「また開いたら来よう」
そう思わせる休業案内は、意外と珍しい。
店は閉まっている。
商品も買えない。
中に入ることもできない。
それなのに、たった一枚の張り紙だけで、少し好感度が上がってしまう。
休む理由としては雑なのに、なぜか一番納得できる。
ゴールデンウィークだからこそ、余計に刺さる一言だった。
あなたなら、この張り紙を見てどう思うだろうか。
「正直で好き」と思うか。
「商売としてどうなの」と思うか。
それとも、「自分も同じ理由で休みたい」と思うだろうか。
引用元:https://twitter.com/threenotes_jp/status/2051308287203942691?s=46,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]