娘が玄関を開けた瞬間、家の空気が一気に荒れた。
ただいま、も言わない。
靴を脱ぐ音が乱暴で、廊下に鞄がドサッと落ちた。
リビングにいた私は、思わず顔を上げた。
「どうしたの?」
娘は真っ赤な顔でこちらを見た。
怒っている。
泣きそうでもある。
でも、泣くより先に怒りが勝っている顔だった。
「多分、今日学校から電話あるし」
そう吐き捨てると、そのまま自室へこもった。
ドアが閉まる音が、家中に響いた。
嫌な予感がした。
子どもが「学校から電話ある」と自分から言う時は、だいたい軽い話ではない。
私は深呼吸をして、スマホをテーブルに置いた。
一時間後。
本当に電話が鳴った。
画面には、学校の番号。
私は椅子に座り直し、声を整えて出た。
担任の先生は、いつもより少し硬い声だった。
「本日、お嬢さんに指導をしました」
「はい」
「お友達関係のことで、いじめに該当する行為がありまして」
いじめ。
その言葉で、胸の奥が冷えた。
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