夜遅く、仕事を終えて家に帰ってきた。
疲れていたし、とにかく早く車を停めて家に入りたかった。
うちのアパートには、各部屋ごとに決まった駐車スペースがある。
もちろん、私の場所も決まっている。
いつものように自分のスペースに車を入れようとして――
思わずブレーキを踏んだ。
「……は?」
そこには、見たこともない車が停まっていた。
灰色の軽自動車。
どう見ても、うちのアパートの住人の車じゃない。
しばらく車の中でその車を見つめた。
「いやいや、ちょっと待て」
ここは来客用のスペースじゃない。
完全に 私の契約している駐車スペース だ。
たまにある。
どこかの住人の友達が遊びに来て、空いていると思って勝手に停めるやつ。
でも普通は、住人が
「そこは人の場所だから」
と教えるはずだ。
つまり――
この車の持ち主か、呼んだ住人か、
どっちかが完全に分かっててやっている。
だんだん腹が立ってきた。
夜も遅いし、正直めんどくさい。
でも、このままどこか別の場所に停めるのもバカらしい。
私は少し考えて、ニヤッとした。
「……そうか」
そのまま自分の車を動かし、
その軽自動車の前にピタッと停めた。
完全に 出られない位置。
前も後ろも無理。
これで終わり。
エンジンを切って車を降りながら、思わず笑った。
「俺、明け方に出るんだよな」
つまり――
それまで、動かせない。
部屋に戻ってから、念のためスマホで写真を撮った。
ナンバーもちゃんと写るように。
もしトラブルになったら、証拠は必要だ。
SNSにも軽く状況を書いた。
「家帰ってきたら知らない車が俺の駐車スペースに停まってる。
とりあえず出られないように塞いだ。
俺は明け方に出るから、それまで待ってろ」
するとすぐにコメントがつき始めた。
「それやると車イタズラされない?」
「防犯カメラある?」
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