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出発3分前に消えた彼氏をホテルで見つけた。電話5回も無視されて、その理由をロビーで見た瞬間、私は静かにスマホを取り出した
2026/03/22

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「出発3分前に消えた彼氏をホテルで見つけた。電話5回も無視されて、その理由をロビーで見た瞬間、私は静かにスマホを取り出した」

20時50分。品川駅のホームで、私はスマホを握りしめていた。
発車ベルが鳴る中、通話履歴には「キャンセル」の文字が5回並んでいる。

「……なんで出ないの?」

LINEも既読がつかない。
3分前まで、「もうすぐ着く」って言ってたのに。

胸の奥がざわざわした。
でも、そのまま立ち尽くすわけにはいかなかった。

今日のために、有給を取った。
新幹線も、ホテルも、全部彼の希望通りに私が手配した。
金額は合計で18万円。

ここで引き返す方が、よっぽどバカみたいだった。

「……行こう」

私はそのまま一人で新幹線に乗った。

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車内では、ずっとスマホを見ていた。
既読はつかない。
電話も鳴らない。

途中で一度だけ、通知が来た。

「ちょっと体調悪くて、先に休んでる」

短い一文。

思わず笑いそうになった。

「体調悪い人が、連絡全部無視するんだ」

違和感が、確信に変わり始めていた。

ホテルに着いたのは、22時過ぎ。
フロントで名前を告げると、スタッフは丁寧に頭を下げた。

「ご予約はお二人様で承っております」

「ええ、そうですね」

私は静かに頷いた。

そのとき、背後から声が聞こえた。

「チェックインお願いしまーす」

聞き覚えのある声。

振り返った瞬間、時間が止まった。

彼だった。

隣には、見たことのない女が立っている。
距離は近く、明らかに“そういう関係”の空気。

彼も、私に気づいた。

「……え?」

顔色が一瞬で変わる。

女が不思議そうに私と彼を見比べた。

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「知り合い?」

私は一歩だけ近づいた。

「うん、知ってるよ」

彼の目をまっすぐ見て、笑った。

「私、この人の彼女」

空気が凍った。

「……え?」

今度は、女の顔が変わる番だった。

「ちょっと待って、それどういうこと?」

彼は口を開いたまま、何も言えない。

私はゆっくりスマホを取り出した。

「これ、今日のLINE」

画面には、さっきのメッセージ。

『体調悪くて、先に休んでる』

そのまま、女の方に向ける。

「元気そうだけどね?」

「……は?」

女の声が低くなる。

「え、ちょっと待って。体調悪いって言ってたの?」

私は頷いた。

「そう。だから一人で来たの」

一瞬の沈黙。

次の瞬間、女が彼を睨んだ。

「どういうこと?」

「いや、その……」

完全に詰んでいる顔だった。

逃げ場がないって、こういう顔を言うんだと思った。

私はさらに一歩踏み込んだ。

「あとさ、このホテル」

二人の間にスマホを差し出す。

「予約、全部私の名前なんだよね」

フロントのスタッフも、状況を察したのか黙っている。

「だから――」

私は画面を操作した。

「今、キャンセルした」

静かな音が一つ鳴る。

「え?」

彼の顔が青くなる。

「ちょ、待って、それは……!」

女も動揺している。

「え、泊まれないってこと?」

私は肩をすくめた。

「そうなるね」

そして、最後に一言だけ付け足した。

「“体調悪い人”と泊まるの、大変でしょ?」

女が一瞬で彼から離れた。

「最低……」

そのまま、彼に背を向ける。

「もういい、帰る」

「ちょ、待って!」

彼は慌てて追いかけようとしたが、足が止まる。

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私の方を見て、何か言おうとした。

でも、言葉は出てこなかった。

私はそれを見て、少しだけ笑った。

「18万円、無駄にしなくてよかった」

フロントに向き直る。

「すみません、一人で泊まれますか?」

スタッフはすぐに頷いた。

「もちろんでございます」

彼の気配は、もう後ろにない。

私はそのままキーを受け取って、エレベーターに乗った。

扉が閉まる直前、スマホが震えた。

彼からの着信。

私はそれを一度だけ見て、

そのままブロックした。

静かに、画面を閉じる。

「……遅すぎるよ」

エレベーターが上に上がっていく。

部屋に入ると、大きな窓の向こうに夜景が広がっていた。

一人で見るには、少し広すぎる部屋。

でも、不思議と寂しさはなかった。

むしろ、やっと全部終わった気がした。

ベッドに腰を下ろして、深く息を吐く。

「……これでいい」

スマホをテーブルに置いて、窓の外を見た。

もう、振り返る必要はない。

あの人がいなくなった分だけ、

ちゃんと、自分の時間が戻ってきた気がした。

「私の時間、ナメないで」

誰に聞かせるでもなく、そう呟いた。

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