正直、あの時までは、まだどこかで信じていました。
私たちは20年間、子どもを持たないって決めてきました。
それが前提の結婚でした。
だから、多少帰りが遅くても、出張が増えても、
そこまで深く疑ったことはありませんでした。
でも、少しずつ違和感はありました。
帰る時間がズレる。
連絡が雑になる。
そしてある日、レシートを見つけました。
居酒屋。
そのあと、ホテル。
時間が綺麗につながっていました。
その瞬間、何かが崩れた気がしました。
でも、その場では何も言いませんでした。
問い詰めるのは簡単です。
でも、証拠がそれだけでは、絶対に認めないと思ったから。
実際、その通りでした。
家に帰ってきた旦那は、いつも通りの顔で言いました。
「昨日は仕事で遅くなっただけ」
「変なこと考えすぎじゃない?」
さらに続けて、
「子どももいないのに、何疑ってるの?」
その言い方が、妙に引っかかりました。
でも私は、そのまま流しました。
その代わり、全部残すことにしました。
レシート。
時間。
行動。
そして、何も知らないふりをしました。
それから2ヶ月。
決定的だったのは、あのレシートでした。
何気なく見たその紙の下に、もう一枚挟まっていたんです。
紙おむつ。
しかも、一度じゃありませんでした。
何度も、同じものを買っている。
その瞬間、全部つながりました。
さらに確認すると、配送先の住所が目に入りました。
見覚えのある住所。
義母の家でした。
その時、初めて理解しました。
これは、ただの不倫じゃない。
私はその日の夜、何も言いませんでした。
そして次の日の朝、そのまま義母の家に向かいました。
チャイムを押して、中に入りました。
リビングの奥。
そこにあったのは――
子どもの物でした。
おもちゃ。
ベビーベッド。
そして、実際に子どもがいました。
義母が普通に世話をしていました。
一瞬、何も言えませんでした。
義母は少し驚いた顔をしていましたが、
すぐに目を逸らしました。
その反応で、全部分かりました。
知らなかったのは、私だけだったんだと。
その後、旦那に話をしました。
最初は否定していました。
でも、レシートも、住所も、全部見せました。
さすがに、言い逃れはできませんでした。
私は怒鳴りませんでした。
ただ一つだけ言いました。
「全部、把握してるから」
それで十分でした。
その後、話は一気に進みました。
離婚。
慰謝料。
すべて整理しました。
正直、悲しさがなかったわけではありません。
でも、それ以上に強かったのは、
「やっと全部分かった」
という感覚でした。
20年信じてきたものが、全部違っていた。
でも逆に言えば、
これ以上、無駄にしなくてよくなった。
そう思うことにしました。
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