そのLINEが来たのは、何でもない夕方だった。
「いつも使ってる化粧水どれだっけ?」
そう送られてきて、デパコスの写真。
その時点で、少しだけ違和感はあった。
私はそのシリーズ、使っていない。
でも、とりあえずそのまま返した。
「ん?私これ使ってないけど」
少し間が空いて、
「え、あ、そうなん?」
ここまでは普通。
でもその直後、
「まあ日頃の感謝も込めてプレゼントしてあげるよ」
「どれがいい?」
その一文を見た瞬間、全部理解した。
ああ、これ——
送り先、間違えてる。
でも私は、何も言わなかった。
そのまま、話に乗った。
「ふーん」
「まあじゃあ全部で」
送った瞬間、すぐ既読。
そして——
数秒後、明らかに焦った返信。
「え?全部?高いよ!」
「冗談だよね?」
その時点で、確信に変わった。
やっぱり、誤爆だ。
私はそこで、少しだけ間を置いて返した。
「え?プレゼントするって自分で言ったよね?」
「日頃の感謝も込めてって書いてあるじゃん」
一瞬、既読が止まる。
さらに追い打ち。
「全部買って送ってよ」
「それとも、これ誰に送るつもりだったの?」
——沈黙。
さっきまでの軽いテンションは完全に消えていた。
そして、ようやく来たのは雑な言い訳。
「あ、やっぱ違うシリーズだったわ、ごめん」
その一文を見て、思わず笑った。
苦しすぎるでしょ、それ。
私はさらに一歩だけ踏み込んだ。
「へぇ」
「じゃあなんで私が使ってないシリーズで話進んでたの?」
既読。
でも、返ってこない。
完全に詰んでるのが分かった。
でも、ここで終わらせるのはもったいないと思った。
私はあえて、軽く追撃した。
「てかさ」
「浮気相手には買ってあげるのに、私にはダメなんだ?」
この一言で、完全に止まった。
既読のまま、動かない。
その沈黙がすべてだった。
もう十分だった。
正直、この時点で怒りはほとんどなかった。
むしろ、一気に冷めた。
ああ、この人こういうことするんだなって。
それだけ。
わざわざ問い詰める気もなくなった。
私は最後に一言だけ送った。
「もういいや」
「別れるね」
それだけ送って、トーク画面を閉じた。
ブロックはしていない。
でも、もうどうでもよかった。
謝罪も、言い訳も、その後一切来なかった。
たぶん、何も言えなかったんだと思う。
でも、それで十分だった。
あのやり取りだけで、全部終わってたから。
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