結婚して間もない頃だった。
義母からこう言われた。
「弟、しばらくそっちに住ませてあげて」
最初は一時的なものだと思っていた。
でも違った。
気づけば何ヶ月も、何年も経っていた。
義弟は家賃を払わない。
食費も出さない。
光熱費も当然のように使う。
完全に“居候”だった。
それでも私は我慢していた。
ご飯を作る量は増える。
洗濯も掃除も倍になる。
それでも、何も言わなかった。
「家族だから」
そう思っていたから。
でも義弟は違った。
仕事は適当。
お金はすぐ使う。
足りなくなると義母に頼む。
そして義母は、私に言う。
「少しぐらい支えてあげて」
「家族なんだから」
正直、何度も限界はあった。
でもそのたびに飲み込んだ。
空気を壊したくなかった。
関係を悪くしたくなかった。
でも——
全部が崩れたのは、あの日だった。
子どもが遊んでいる時に、
義弟の置いていた小物を落として壊してしまった。
もちろん、わざとじゃない。
でもその瞬間、義弟がキレた。
「何やってんだよ!」
ドアを強く叩いて、怒鳴り始めた。
「マジでふざけんなよ!」
その顔を見た瞬間、違和感が走った。
そして次の一言。
「お前ら、俺に迷惑かけてるって分かってんの?」
頭が一瞬止まった。
さらに続けた。
「ここ、俺の家みたいなもんだろ」
その瞬間、何かが切れた。
私は初めて、はっきり言った。
「違うよね?」
部屋の空気が止まる。
私は続けた。
「家賃も払ってない」
「生活費も出してない」
「それで“自分の家”って言えるの?」
義弟は何も言えなかった。
でもまだ引かない。
「でも俺は家族だろ」
その言葉を聞いた瞬間、完全に冷めた。
私ははっきり言った。
「じゃあ今日で終わりね」
義弟が固まる。
「え?」
「出て行って」
静かに言った。
でももう迷いはなかった。
「ここは、あなたの家じゃない」
その一言で、すべてが終わった。
甘やかしは、優しさじゃない。
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