あの日、私は心の中で何度も「今日はどうか平穏無事に過ぎますように」と願っていた。でも、そんな願いはいつも空回りするものだと、私はすでに知っていた。
夫は仕事で遅く帰ってくるし、義父は日常の世話が必要な状態にあった。義父が寝ている間に、私は家事を片付けようと決めていた。しばらく前から、義父の体調が優れない日が続いており、世話の手間が増えていた。最初は何とかなると思っていたが、次第にその「何とかなる」気持ちがどんどん消えていった。
それは、ある日のこと。突然、義父が寝ている間に何度もトイレに行きたがるようになり、その後、私が目を離した隙に、あたり一面に広がったのは予想外の事態だった。大量の💩が、私の目の前に広がっていた。おしり拭きでは到底間に合わない状況だった。しかも、義父は寝ているため、助けを求めることもできない。
「どうしよう…」私は頭の中で何度も呟いた。普段ならこのような状況に冷静でいられるだろうと思っていたけれど、実際に目の前にした私はすぐに動揺した。やらなければならないことはわかっているけど、心の中ではその事実にどう向き合っていいのか分からなかった。
私は深呼吸をして、自分を落ち着かせた。そして、思いついたのは、使わないタオルを濡らしてレンジで温める方法だった。これなら、少しでも義父を傷つけず、優しく拭き取ることができるかもしれないと思った。
濡らしたタオルを温め、しっかりとお尻を拭いた。何度やっても、何度やっても、この作業は精神的に辛かった。温かいタオルが冷める度に、私はまた次のタオルを準備しては義父の体を拭いていった。途中で涙が出そうになったが、引っ込めた。涙を見せたら、夫や周りに心配をかけてしまうと思ったからだ。
「私がやらなきゃ、誰がやるの?」と自分に言い聞かせながら、手を動かし続けた。義父は寝たままだが、その姿がどこか頼りなく、無力に見えた。
最後には、すべての片付けが終わり、少しホッとした気持ちがこみ上げてきた。だけど、その後にも心にぽっかりと穴が開いたような気持ちが残った。身体は疲れ果てていたが、それ以上に精神的に辛いことがたくさんあった。
ふと、私の心の中に響いたのは、「自分がこうして義父を支えていることが、家族としての役割なのかもしれない」という気持ちだった。
夫や義父に対する不満や、身体的な疲れからくるストレスもあったけれど、それでもこの役目を果たしている自分を少しだけ誇りに思いたいと思った。
しばらくして、夫が帰宅した。私は何も言わずに微笑みながら「お帰り」と声をかけた。彼も疲れているのは分かっていた。けれど、内心では「今日も無事に終わった」と、ほんの少しだけ安心していた自分がいた。
そして、私は自分に言い聞かせた。「まだまだ続くけれど、これが私のやるべきことなんだ。」どんなに辛い状況でも、自分を保っていなければならない。
それを私は心に刻み込んだ。