朝8:12。空港線の通勤電車。ドアが開いた瞬間、目の前に“城壁”が出現した。
特大スーツケースが4個。補助席スペースにびっしり並べられ、通路は細い糸みたい。しかも本人たちは自席でスマホ爆音。イヤホン?なにそれ?って顔。
次駅は乗換の大きい駅。降りたい人が前に出ようとしても、箱が動かない。
「すみません、通して…」と声をかけても、返ってくるのはニヤニヤと“聞こえないフリ”。
ここで周りはいつもの日本式。
怒ってるのに黙る。
イラついてるのに見て見ぬふり。
そして一番タチが悪いのが、正義ヅラでスマホを構えて煽り始める人。
「ほらほら撮っとこ、晒そ」——いや、火にガソリン足すな。
私は深呼吸して、翻訳アプリを一言だけ出した。
「通路確保。荷物移動してください。」
相手は笑って、さらに音量アップ。まるで勝利宣言。
そのとき、ホームに車いすの方が見えた。
駅員さんが誘導しているのに、入口が“箱の壁”で塞がれて入れない。
ピピピ…ドア閉まりますの警告音。車内の空気が一気に沸点。
──はい、ここで私は吠えない。
説教もしない。
押したのは、ドア横の緊急インターホン。
「○号車、通路が大型荷物で閉塞。車いす乗車不可。外放音あり。次駅で駅係員の介入要請。」
自分でも笑うくらい、報告が早口で正確だったと思う。
相手の顔が一瞬だけ曇った。
煽り撮影してた人の手も止まった。
“あ、これ…本気のやつだ”って空気が流れる。
でも反撃は来る。
「満員じゃないし問題ないでしょ?」
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