「ねえ、かまぼこ切って」
背後に義母。監督みたいに腕組み。
私、無言で1cmに切る。
「ごっついわ〜!そんな厚いの誰が食べんの」
……はいはい。じゃあ、と。
5mmにする。
「うっす!透けてるじゃん!センスないわ〜」
は???
私「……何mmが正解なんですか?」
義母「うちのやり方があるのよ。見て覚えなさい。嫁なんだから」
出た、“うちルール”。
私、もう一回切ろうとした瞬間。
義母「違う違う!そこじゃない!包丁の角度!ほらほら、手元!」
横から箸でツンツン、指で指示、口でネチネチ。
……クソうるせぇ。
私、包丁をスッと置いて、リビングへ。
テレビつけて紅白の音量ちょい上げ。
義母「ちょっと!?何それ!?やらないの!?」
私(にこ)「いや、こだわりあるなら自分でやった方が早いですよ。厚いだの薄いだの、横から文句言われながらやるの無理なんで」
義母「じゃあ私が全部やる!何もしないで!!」
私「はい、どうぞ」
……と思ったら、義母、即スマホ。
しかもスピーカー(免提)。
義母「もしもし〜?聞いてよ〜!うちの嫁がね、かまぼこ切っただけで不機嫌になって、今テレビ見て何もしないのよ〜」
私、キッチン戻って、かまぼこ皿を持ち上げて、スマホの前へ。
私「みなさーん、実況しまーす。
1cm切ったら『厚い』、5mm切ったら『薄い』。
じゃあ何mm?って聞いたら『見て覚えろ』。
つまり正解は、“義母の気分”でーす」
電話の向こう、沈黙。
義母「ちょっ…!あんた何言って…!」
私「だってそうじゃないですか。私、何してもダメなんですよね?」
義母、顔真っ赤。言葉詰まる。
そこへ夫、ソファから生還(遅い)。
夫「まあまあ…年末だし…落ち着いて…」
私、夫を一瞬見て、心で言う。
(お前、マジで空気。)
私、上着を掴んで子ども呼ぶ。
私「よし、牛丼行こ」
子どもたち、即靴。早い。慣れてる。
義母「正月前に外食なんて!うちは年越しは家で!ルールが!」
私、玄関で振り返ってニッコリ。
私「その“ルール”、自分で守ってください。
私は毎回、正解当てゲームさせられるの無理なんで。
てか、文句言うなら最初から自分でやれよ」
ガチャ。
外、寒い。頭スッキリ。
松屋(or すき家)。牛丼の湯気。
私、ひと口。
「……うま。マジで。」
義母は家で、“完璧な厚さ”のかまぼこ並べて、
電話も次かけられない。
さっきの免提で、親戚全員にバレたから。
義母ルールは、義母一人で抱えてどうぞ。