「子ども連れて新幹線なんて、迷惑でしょ。」
12号車の最後列、特大荷物スペースに双子用ベビーカーを押し込もうとした瞬間、その言葉が背中に刺さった。
大阪から東京。
東海道新幹線N700S。
平日の昼。
特大荷物スペース付きの2席は、事前に予約済み。
やれる準備は、全部やった。
双子用ベビーカーは、畳むと逆に嵩張る。
片方を抱けば、もう片方が不安定になる。
両腕はすぐ塞がる。
だから私は「畳まない」という選択をした。
通路に出ないよう、12号車の最後尾。
11号車の多目的室に近い位置。
乗車前に動線も確認した。
それでも。
「そんな大きいの、邪魔だよ。」
振り向くと、スーツ姿の男性が眉をひそめていた。
足元には小さなキャリーケース。
私は一瞬、息が止まった。
邪魔?
車輪をゆっくり押す。
ベビーカーは、設計されたとおり、特大荷物スペースにぴたりと収まった。
通路は塞いでいない。
誰の座席も奪っていない。
「畳めないの?」
追い打ちのような声。
そのとき、片方が目を覚まして泣き始めた。
私は顔を上げた。
「これは特大荷物スペースを予約しています。」
「平日ですし、通路も空いています。」
「どこが迷惑ですか?」
自分でも驚くほど、声ははっきりしていた。
男性は少し顔をしかめた。
「でもさ、子ども連れて遠出する必要ある?」
その一言で、胸の奥が熱くなった。
必要?
私たちは観光気分じゃない。
やむを得ない移動だ。
でも、理由がどうであれ、
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