「7990円になります」
レジでそう言われた時、正直ちょっと高いなとは思った。でも“値下げ赤シール”が貼られていたし、限定価格だと思ってそのまま支払った。
帰宅後。
何気なく赤いシールをペリッと剥がした瞬間、指が止まった。
下から出てきたのは――
「1990円」
は?
一瞬、意味がわからなかった。
値下げじゃない。
1990円の上に、7990円を貼ってる。
これ、どういうこと?
怒りでそのままレシートと商品を持ってユニクロへ戻った。
レジで事情を説明すると、店員は露骨に面倒くさそうな顔。
「今の販売価格が7990円ですので」
いや、そうじゃない。
「じゃあ、この1990円は何ですか?」
「以前の価格ですね」
さらっと言う。
貼り替えたなら、なぜ下に残ってる?
なぜ赤い“値下げ風”シールで隠してる?
私が食い下がると、店員は少し声を荒げた。
「お客様がどう感じられたかは分かりませんが、価格は7990円です」
……は?
“どう感じたか”の問題じゃない。
表示は消費者にとって命綱。
景品表示法って知ってます?って喉まで出かかった。
周囲のお客さんがこちらを見る。
私は静かに言った。
「これ、誤認させる表示ですよね?」
空気が変わった。
店員は舌打ちこそしなかったけど、明らかに苛立っている。
「責任者呼びますか?」
呼んでください。
奥から出てきた責任者に、タグとレシートを見せる。
沈黙。
そして一言。
「これは……貼り替えミスの可能性があります」
さっきまで強気だった店員の顔色が変わる。
確認作業のあと、責任者が頭を下げた。
「大変申し訳ございません。表示に不備がありました」
やっぱり。
その場で差額返金。
さらに。
「今回はこちらの商品、無料でお持ち帰りください」
え?
一瞬、耳を疑った。
怒りで震えていた手が、急に軽くなる。
さっきまで逆ギレ気味だった店員は、無言で処理をしている。
私は最後に言った。
「赤いシール、ちゃんと確認してください。気づかない人、いますよ」
店を出たあと、深呼吸した。
7990円。
気づかなければ、そのまま払っていた。
泣き寝入りしていた。
赤シール=値下げ、って思い込んでた。
でも違った。
“貼ってあるから安心”じゃない。
剥がして、見る。
それだけで守れるお金がある。
今日、私が声を上げなかったら、
何人が1990円の服を7990円で買っていたんだろう。
怒ったけど、後悔はない。
おかしいと思ったら、言っていい。
だって、黙ってる人が一番損するから。
赤いシール、
絶対一回、剥がして見て。
あなたなら、どうする?