休日の朝、親戚から電話が入った。「足が痛くて、歩くのも辛い…」その声には、普段の元気な様子とは違う切迫感があった。連休中でかかりつけ医は休診。仕方なく、私は大きな病院の休日窓口へ向かった。
病院に着くと、待合室は人で溢れていた。子ども連れ、年配の患者、救急搬送の人まで、さまざまな表情が混ざる。空気は冷たく、消毒薬の匂いが鼻をつく。受付で手続きを済ませた瞬間、張り紙が目に飛び込んできた。「診察までの待ち時間、おおよそ4時間」——いやいや、もう朝の9時前なのに、終わる頃には昼過ぎか…。
椅子に腰掛け、親戚の足元を気遣いながら時間を潰す。スマホをいじっても、周囲の人の咳や話し声がうるさくて集中できない。ふと、窓の外を見た。青空が広がっているのに、私はこの人混みと長い待ち時間に閉じ込められた感覚に、少し憂鬱になる。
数十分経った頃、受付のスタッフが近づいてきた。「時間外診察をご希望ですか? 追加で11,000円になります」——頭が真っ白になった。11,000円? 診察代とは別に? 簡単に払える額ではない。
親戚は疲れた顔で私を見つめる。足の痛みで顔をしかめ、椅子に深く座り込む。その横で私は心の中で葛藤する。「どうする…? 本当に必要なのか? でも、11,000円は…」
周囲を見渡すと、同じように待ちくたびれた人たちが、諦め顔で座っている。受付のスタッフの言葉が響く。「希望があれば、診察は今すぐできます」——その瞬間、私の心の中で笑いがこみ上げた。「いやいや、さすがにこれは高すぎる」と、私は親戚に耳打ちした。「診察は今回はやめとこう。無理して払う必要はない」
親戚はため息をつきながらも頷く。痛みを我慢して、椅子に身を沈める。その顔に少しだけ安堵の表情が浮かぶのがわかる。私は心の中で、医療のシステムと金銭のバランスに軽く苛立つ。休日や連休中は、患者の数も増える。そのため、特別料金が発生するのは仕方ないのかもしれないが、11,000円という額は、あまりにも現実感がなさすぎる。
結局、私たちはそのまま待合室で時間を潰すことにした。親戚は雑誌をめくり、私はスマホを見ながら、周囲の人々の表情を観察する。苦笑いする人、ため息をつく人、怒りを抑えている人——この混沌とした空間で、私たちはただ時間をやり過ごすしかなかった。
それでも、ふとした瞬間に親戚が微笑む。「こうして一緒にいるだけで、少しは気が紛れるわ」と言った。その言葉に、私は少し心が軽くなる。高額な診察費を払わなくても、人の心は少しずつ救われるのだ。
帰り際、私は心の中でつぶやく。「連休中の病院は、体力だけじゃなく、財布も試されるんだな…」それでも、親戚と一緒に家に戻る道すがら、外の青空を見上げ、少しだけ笑みを浮かべた。
健康と家族、そして日常のありがたさを、痛感した一日だった。