スーパーでレタスを買ったのは、たしか3日前だった。
特別な理由なんてない。
夕飯にサラダでも作ろうかなと思って、いつものように野菜売り場で手に取って、カゴに入れただけ。
家に帰ってからは、そのまま冷蔵庫へ。
忙しかったのもあって、買ったことすら少し忘れていた。
そして3日後。
「そろそろ使わないと傷むな」
そう思って冷蔵庫を開け、レタスを取り出した。
外側の葉っぱはまだきれいで、少し冷たくて、いつもと何も変わらないように見えた。
私は包丁を用意して、葉を一枚めくった。
その瞬間だった。
「……え?」
レタスの奥に、なにかがいた。
最初は泥かと思った。
次に、虫かと思った。
けれど、違った。
小さな顔。
丸い目。
緑色の体。
葉っぱの隙間で、じっと動かずにこちらを見ている。
「うおぉぉぉ……!」
変な声が出た。
まさか、レタスからカエルが出てくるなんて思わない。
しかも、生きている。
私の手は完全に止まっていた。
頭の中では、いろんな考えが一気に流れた。
「これ、スーパーに言うべき?」
「食品に入ってたってことだよね?」
「いや、でも生きてる」
「冷蔵庫で3日だよ?」
「寒かったよね?」
驚きより先に、だんだん心配のほうが勝ってきた。
だって、その子は何も悪くない。
きっと畑のどこかで、レタスの葉っぱに隠れていただけだったのだと思う。
そこから収穫されて、運ばれて、店に並べられて、私に買われて。
そして、何も分からないまま冷蔵庫の中で3日間。
暗くて、寒くて、静かで。
どんな気持ちだったんだろう。
そう思ったら、もう「気持ち悪い」とは思えなかった。
むしろ、
「よく生きてたね」
と、声をかけていた。
もちろん、最初は怖かった。
いきなり野菜の中からカエルが出てきたら、誰だって驚く。
私は虫も得意ではないし、爬虫類や両生類に詳しいわけでもない。
でも、レタスの葉っぱの中で小さく丸まっている姿を見ていると、だんだん変な感情が湧いてきた。
この子、ここまで来ちゃったんだ。
それも、私の家に。
偶然にしては、なんだかすごい。
私は急いでスマホで調べた。
カエルは何を食べるのか。
どういう環境が必要なのか。
水はどれくらい必要なのか。
急に外へ逃がして大丈夫なのか。
正直、分からないことだらけだった。
でも、とりあえず小さな容器を用意して、葉っぱと水を入れた。
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